カーゴニュース 2025年10月14日 第5378号
総務省はこのほど、特定信書便事業の現況を公表した。それによると、2024年度末(25年3月末)時点での特定信書便事業者は623者となり、23年度末から27者増となった。03年の制度開始以来、参入事業者は着実に増加を続けている。また、24年度の総引受通数は約2141万通で前年度比1・2%増、売上高総額も前年度比1・3%増の約191億円となり、緩やかながらも成長が続いている。
制度開始20年余で事業者数は600者超え
特定信書便事業は、03年に施行された信書便法(民間事業者による信書の送達に関する法律)により、それまで国が独占してきた信書の送達に民間の参入が可能になったことからスタート。この間、一般信書便事業への参入はないものの、特定信書便事業への参入は着実に増え続けている。
24年度末時点での参入事業者数は前年度比27者増の623者となり、制度開始以来20年余で初めて600者を超えた。役務別では、1号役務(3辺合計が73㎝以上または重量4kg以上の大型信書便サービス)が563者(前年度比28者増)と最も多く、次いで3号役務(料金800円超の高付加価値サービス)が314者(同6者増)、2号役務(3時間以内配達の急送サービス)が96者(増減なし)となっている。なお、複数の役務を提供する事業者があるため、役務別事業者数と特定信書便事業者数は一致しない。
2号・3号役務は通数、売上ともに低迷
24年度の総引受通数は約2141万通で、前年度比で約25万通増、1・2%増となった。引受通数は制度開始以来、順調に増加を続けてきたが、21・22年度と2年連続で減少。その後は再び2年連続で増加した。役務別では1号役務が約1626万通(4・3%増)となったが、2号役務は約49万通(2・2%減)、3号役務も約465万通(8・3%減)となり、減少傾向が続いている。
24年度の売上高総額は約191億円で、前年度から約2億円、1・3%増となった。ピークだった20年度の198億円にはおよばないものの、21・22年度の2年連続での減少から再び増加基調となった。役務別では、1号役務が約113億2000万円(4・6%増)となった一方、2号役務は約2億2000万円(1・5%減)、3号役務が約75億4000万円(3・1%減)となり、引受通数、売上高とも1号役務だけが前年を上回った。
参入事業者の75%を貨物運送業が占める
参入事業者の業種別の割合では、貨物運送業が623者中、467者と75%を占め、次いで警備業が38者、建物サービス業が18者、障がい者福祉事業が17者、卸売業・小売業が10者の順。経営形態では、会社形態(株式会社、合資会社および合同会社)が543者で全体の87・2%を占めた。それ以外では協同組合が40者(6・4%)、社会福祉法人が15者(2・4%)、NPO法人が7者(1・1%)となっている。また、個人での参入も15者(2・4%)ある。
さらに、会社形態での参入事業者を資本規模別に見ると、543者のうち87・3%にあたる474者が資本金1億円未満となっており、なかでも1000万円以上~1億円未満が70・7%(384者)を占めた。資本金10億円以上の大企業も17者(3・1%)あった。
地域別の参入状況では、東京が147者で最も多く、次いで大阪62者、愛知37者、神奈川34者、福岡29者、兵庫20者、北海道18者、埼玉と静岡が16者と続く。なお、47都道府県のうち高知県だけが依然として参入事業者ゼロが続いている。
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