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中小企業振興功労で旭日双光章を受章

　箱守氏は１９７４年に京葉流通倉庫に入社し、常務取締役、専務取締役を経て、２００１年３月に代表取締役社長に就任。業界活動では、埼玉県倉庫協会会長、日本倉庫協会常任理事、日本倉庫経営者倶楽部会長などを歴任。06年には国土交通省の「若手トラック経営者等によるトラック事業の明るい未来を切り開く方針等を検討する研究会」、20年には農林水産省・経済産業省・国交省の「２０２０年代の総合物流施策大綱に関する検討会」の委員を務めた。京葉流通倉庫は16年には経済産業大臣表彰（はばたく中小企業・小規模事業者３００社）を受け、17年には経産省地域未来牽引企業に選定。こうした活動が認められ、箱守氏は中小企業振興功労において25年４月に旭日双光章を受章した。

　箱守氏は主催者挨拶で、「父（一夫氏）が創業した京葉流通倉庫は今年で60周年を迎え、私自身も社業に携わって50年が経った。弟（康之氏）はかつてヨットでオリンピックの代表に選ばれ、メダルは確実と言われながら、残念なことに『幻のモスクワオリンピック』となり、晴れ舞台に立つことはかなわなかったが、一途におのれの道をまい進する姿を見て、私自身もまた、父の後を継いで社業に全身全霊を傾ける決意を固めた。その決意を胸に、私なりに精一杯努力してきたが、何とか社業を継続できたのは皆様の温かいご支援、ご厚情のおかげであり、協力いただいた従業員の皆さんのおかげ」と謝辞を述べ、「仕事優先」の箱守氏を50年間支えてきた美惠子夫人に感謝の言葉をささげた。

誠実さと情熱、時代を先取りした経営

　来賓の菅原文仁戸田市長は、「昭和から平成、令和へと戸田市が発展する中、『戸田と言えば倉庫』と言われるようになるほど、物流業は戸田市の代名詞であり、まさに地場産業となった。この歴史をたどれば、そこには必ず京葉流通倉庫の存在があった。箱守社長はその中心で社業に真摯に取り組み、地域に根差しながらお客様と厚い信頼関係を築くとともに、誠実さと情熱、時代を先取りした経営によって会社を育て上げた。ただ会社を発展させるだけでなく、物流業の未来を見据え、環境配慮を重視した経営を行い、社会にも目を向けた様々な取り組みに全力を注いだ」とし、埼玉県内でいち早く事業所内保育所事業を設置したことやフードバンク事業への参加といった地域活動も紹介した。

　日本経済研究所の奈良平博史理事は、自身が国交省自動車交通局貨物課長だった時代に「若手トラック経営者等によるトラック事業の明るい未来を切り開く方策等を検討する検討会」の委員を務めた箱守氏について、ＤＸ、３ＰＬ、女性活躍推進など時代を先取りして取り組んできた「先見の明」を称讃。乾杯の発声を日本倉庫協会の米田浩理事長が行い、箱守氏が埼玉県倉庫協会の会長時代に「倉庫業界女性職員ネットワーク交流会」や、次世代を担う若手社員が会社を超えて交流する機会を設けるなど、他の地区協会に参考になる活動を展開したことを紹介した。

　祝宴では友人代表として、中央自動車倉庫の新井越雄社長、太成倉庫の鈴木又右衞門社長が登壇。新井氏は、箱守氏について「交友関係がとても広く、抜群の行動力、本業の営業力がある」と強調。鈴木氏は京葉流通倉庫が書籍のＰＯＤ（プリント・オンデマンド）事業や、食品工場まで手掛けていることに触れ「ひとつの分野にとらわれず、その周辺も含め多岐にわたって、すばらしいアイデアと実行力で実現してしまう」と称えた。京葉流通倉庫の創立60周年の記念ビデオが上映された後、中締めとして、箱守大輔取締役副社長執行役員が挨拶に立ち、父和之氏について「ひと言で言うとエネルギッシュ。お客様に対し何かしら提案したいというマインドを持っている」と述べ、これからは仕事以外の時間も持ってほしいとねぎらった。