カーゴニュース 2024年4月9日 第5232号
「もう、そんないい加減なことはないだろう」と思ったのですが、あの世界企業のニッサンが長年にわたって下請け会社に対して代金を一方的にカットしていたということで公正取引委員会が勧告を行うとか(コストコにも日本病がうつった)。ニッサンは目標値を決め、厳密な計算のもとに支払い費の数%をカットしていた。それが数十年にわたって行われていた。いかに情報システムが進歩し、支払費を管理・計算したとしても、それは「カットする」ということとは関係がない。つまり、今でも昔の僕と同じようにやっていたことになる。そうなると次はキチンとプログラムによって計算して、そこにAIが「適正にカットしろ」ということで近代的カットシステムができる。これはあらゆる業種で下請けに対しては大なり小なり、行なわれているのではないでしょうか 。
「失われた30年」などと言い、もう経済の低成長がずっと続き、その改善の兆しはない。しかし、それ以前は商売もおおらかだった。適当に取引をしていても互いに成長できた。そういう時代が終わってもみんなの(会社も個人も)意識の中にそのおおらかさは文化として残っているのでしょう。高度経済成長を知らない今の人もそのおおらかさ(適当な員数合わせの)の 潜在意識はある。僕のメーカー同期のMさんなど「現役時代、自分のお金で飲み食いや旅行をしたことはない。部下や下請けが適当に処理してくれた」などと自慢するのです。部下もそれに倣う。みんなそういう意識がある。政治家だって適当に税金も払わず、飲み食いに変なお金を使うのだ。トラック業もおおらかさをバックにした取引条件・慣行の改善より、とにかく「運賃の大幅引き上げ」にターゲットを絞って戦う方が良いような気がします。ターゲット(標的)の絞込みと兵の集中こそ。
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