カーゴニュース 2025年5月1日 第5335号
いま生きるため飛魚の飛びつづけ 耕一郎
マスコミでは詐欺を含めた悪質ビジネスがてんこ盛り。詐欺はともかく悪質な不動産業、証券会社、建築会社、銀行などの商売で無知な消費者を結果的にだます。これを悪徳商法と言う。詐欺など大昔から当たり前の話でした。わが祖父も騙されて財産を全て失ったとか。もし、これがなかったらわが家は軽井沢に別荘でも持っていたでしょう。家の歴史など長い目で見れば公平です。まあ、犯罪にからむのは当然、悪事であり、断罪されるべきでしょうが、犯罪かどうか判然とせず、とにかく利益を追求する結果、人に迷惑をかけるということもある。これは取引慣習に係わってくる。
どうも、最近、企業はこすっからくなっている気がします。国民の多くがずるく、防御的になっているのでは。臆病になり、小市民的な小さな幸せを求め、家庭に引き篭る。国の民度が低くなっているのかも。そして、国民は自らの民度に合った政治家しか持つことは出来ない、と言います。選挙の立候補者を見るとよくわかる。早い話が小悪党的な人が多くなった。闇バイトとか年寄り対象の各種詐欺、社内不祥事、パワハラ、政治家の小金にからむ金銭問題。言ってしまうと「セコイ日本」というわけです。こういうずるさが社会に蔓延する。これを「民族の成熟」と言う(?)。成熟に発展はない。
僕の昔のメーカーの仲間は「スーパーは商品についてお客からクレームが来ると、自分のミスでもメーカーに苦情処理をさせる。売れ残った商品はすぐ返品。決算時期になるとリベートだのアローアンスだのと言って、値引きや協賛金をとろうとする。店員を派遣しろという。しかし、われわれは自らのブランドを守るため、それに喜んで対応したものだ」。ブランド力こそメーカーの命、「自分のためにやっていた」と言っておりました。スーパーを悪質業者だとは思っていない。悪質業者にもいろいろある。
トラック業界でも「悪質荷主」という言葉が散見されます。ただ、これはキャッチフレーズみたいなものだから、深く考えるなら言葉を明確にすべきです。まず、荷主は「真荷主(メーカー、卸売業、小売・サービス業など)」と「代行荷主(物流子会社、元請けなど)」に分けてほしい。次に悪質にも「善意の悪質」と「悪意の悪質」がありそうです。もちろん、独禁法、下請法など法的に問題があるものは別ですが、「善意の悪質」とはおおむね、これまでの慣習や共同体意識から起こるもののようです。中にはトラック業側が販売促進とか包括受託の中で主導的に生まれるものもある。悪質というよりも「曖昧」と言うべき。これについては取引条件の明確化・文書化か(?)。「悪意の悪質」は荷主がトラック業を便利屋、何でも屋、トラック業のドライバーを自社の従業員(派遣社員)と思っていることから生まれるのでしょう。
実は僕が思うに真荷主はドライバー不足、物流供給力の低下をあまり怖れていないのではないか。彼らにはまだまだ、対応力があるからです。少なくとも大手荷主は30%、中小荷主で15%の物流量削減が可能だと、僕は密かに思っています。ここで言う物流量とは生産量、販売量、仕入量ではなく、自社チャネル内の流動総トン数、特にトリップ数のことです。つまり、彼らは物流供給量が減ればそれにあわせて物流需要を減らしていけばよい。それは実現可能です。ただ、これはトラック業の販売減少に結びつく。さて、どうする。「明日からはなるようになれ春うらら」の方が現実に合っている(のか)。「うらら」は春の季語、「春うらら」だと季重なり。
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