カーゴニュース 2026年6月30日 第5447号
デジタル表示器を用いたデジタルピッキングシステム(DPS)やプロジェクションピッキングシステム(PPS)、デジタルラベルの「Smart Tag」など、物流や製造現場の業務効率化に寄与する製品を展開するアイオイ・システム(本社・東京都品川区、吉野豊社長)。TOPPANグループ入りした2021年以降はメーカーの域を超え、国内外の自動化機器開発企業などと連携をしながら「物流・製造現場のソリューションカンパニー」としての歩みを加速させている。なかでも「物流の高度化」に対しては「セミオートメーション」の概念を推奨し、存在感を高めている。
アイオイが考えるセミオートメーションとは
同社が推進する「セミオートメーション」は、「〝静〟と〝動〟の組み合わせによるロボットと人の融合」を指す。物流改革が求められる時代において、ロボットと人がそれぞれ得意分野を担い「高度な物流現場」を具現化することを柱としている。たとえば、同社のDPSやPPSといったピッキングシステムを活用している現場に対し、AGV(無人搬送車)などの搬送ロボットを導入することで、DPSやPPSの良さを活かしながら大量の人手が必要だった業務を自動化して、現場の作業効率向上を図る――といった事例が代表的だ。医薬品卸企業の事例では、作業員の負担軽減を図る目的で、それまでピッキングカートで行っていた作業を、小型AGVと重量検品システムによる方式に変更した。その結果、作業員の歩行距離が短くなり負担軽減に寄与。ピッキングミスによる誤出荷も削減でき品質向上につながったほか、労働環境が改善されたことで、必要とする業務への人材の確保にも効果が表れているという。また、靴製品卸企業の物流現場では、セミオートメーションの導入により作業時間が大幅に短縮。当該現場はそれまでBtoB向け商品を中心に仕分け業務を行っていたが、他の施設で行っていたBtoC向けの業務も行えるようになり、効率的な施設運営が可能になったという。アイオイ・システムの吉野社長は「現場の規模や取扱品の違いで結果は変わるので一概には言えないが、なかには作業効率が5倍以上アップした実例もある」との成果事例を紹介した。
23年にセミオートメーション事業を本格始動
同社が属するTOPPANグループでは、物流現場の業務効率を向上させるため、「経験と勘からの脱却」を図り、ハードやシステムとデータを連携させる物流DXを推進している。そうした方針のもと、アイオイ・システムは23年に「システムソリューション部」を創設し「セミオートメーション事業」を本格的にスタートさせた。吉野社長は「当時は2024年問題を控え、物流業界は大きな変革期に差し掛かっていた。当社は『お客様の成功』に重点を置いた活動方針を掲げており、物流現場への貢献度をさらに上げていくためには、当社自身『単なるメーカー』からの変革が必要だった」と振り返る。そして「それまで培ってきた技術とアイデアを活かしながら変革期を勝ち抜き、お客様の期待に応える施策として『セミオートメーション』を推進していくこととなった」と話す。「システムソリューション部」では、自社開発製品とロボットメーカーの自動化機器を連携し、一括管理する倉庫管理システム(WMS)「AINECT(アイネクト)」を開発、24年にリリースした。ここから「セミオートメーション」の現場導入が加速していった。
セミオートメーションで段階的な自動化を
「顧客の期待に応える施策」に「セミオートメーション」を選択した理由について吉野社長は「物流現場は段階を踏んで自動化を取り入れていくことが必要と考えた」と説明する。「膨大なSKUを処理するような大規模な物流施設では、人力を可能な限り抑えた設備が必要となる場合も多いが、中小規模の物流現場ではコストの増加や費用対効果、レイアウト変更などさまざまな面で、自動化に踏み切れないケースもみられる」として、物流効率化の進展の遅れを危惧するなかで導き出した答えが「セミオートメーションの推進」だという。「長きにわたり物流現場に寄与する製品を開発し、『現場を良く知る』当社だからこそできる取り組みとして、『セミオートメーション』を事業に組み込むこととした」と吉野社長は強調する。
ショールームや展示会でもPR
今年3月にはセミオートメーションを提案する場として、従来の約1・4倍の広さを持つショールームを本社至近にオープンし、見学者数は3ヵ月弱で700人を超える勢いをみせている。また26年度には、中国やインドのメーカーが製造する立体ソーターマシンに、DPSなどを組み合わせたソリューションの販売強化を目指しており、9月に開催される「国際物流総合展」での展示を企画しているという。さらには、物流現場向けのアームロボットの開発を進めるなど、セミオートメーションの普及、バリエーションの拡大に向け走り続けている。
吉野社長は「いま、物流現場に求められているのは、異なるシステム間でデータをやり取りできる『API連携』の柔軟性だ」として、刻々と変化する物流業界に対応するには、システムやロボット制御の拡張性向上が必須であると説く。すべての機器やシステムを統制し人の力も結集してプロセスを動かす「物流のオーケストレーション」を理想の将来像として、独自の「コントロールボックス」の開発にも目を向けるが、その実現のためにもセミオートメーションにより一層注力していくと、吉野社長は話す。そして「人力を必要とする現場はなくならないと思う。当社としては、そうした現場の課題に寄り添い、伴走していきたい」とし「国内外問わず物流業界に新しい技術を届けていきたい」と思いを語る。
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