カーゴニュース 2024年6月13日 第5250号
「地産地消」で売上増と長距離輸送削減を両立
「物流DX」の強化以外にも、物流最適化への施策が進む。製品在庫や長距離輸送の削減に大きな成果を上げているのが「S&OI(Sales&Opera-tionIntegration)プロジェクト」。柔軟な製造体制の構築を目的とした同プロジェクトでは、気候やトレンド、販売促進のデータ分析によって導き出した需要予測を活用することで、従来は属人化されていた供給計画の立案をシステム化し、製品の安定供給につなげている。
このプロジェクトにおける重点項目のひとつが「地産地消モデル」の推進だ。在庫切れが発生したエリアに商品を供給する際、これまでは遠方エリアにある工場から長距離輸送するケースが少なくなかった。「地産地消モデル」では、製造エリアを6つに分け、エリアごとに多品種・小ロット生産に対応できる柔軟な製造体制を構築。需要予測データに基づきエリアや季節ごとに生産を最適化することで、エリア内で需給を完結できるようにした。
これにより、エリア間をまたぐ長距離輸送が減少したほか、輸送時に経由する拠点数(タッチ数)も削減。23年の実績では22年と比較して、売上は3%増を達成しつつ、ケースあたりの輸送距離で平均17%、タッチ数で6%、輸送数量で9%の削減を実現した。さらに、物流コストやCO2排出量の削減にも寄与した。一方で、特定のエリアで集中生産したほうが効率的な製品などを遠方へ輸送する際には、船舶輸送を利用するケースもあるが、「なるべくモーダルシフトが必要となるような長距離輸送を発生させないよう、『地産地消』を強化したサプライチェーンを構築したい」(髙木氏)と話す。
空き車両の共同活用で異業種と連携
CCBJIでは物流課題の解決を非競争領域と捉え、同業種・異業種を問わない連携を進めている。今年2月から空き車両の安定した稼働を目指し、ファミリーマートとの店舗配送トラックの共同活用を神奈川県海老名市・厚木市を中心としたエリアで開始した。
CCBJIは最需要期である夏場以外で車両の稼働率にばらつきがあり、一方のファミリーマートでは既存の車両だけでは配送しきれない商品量が不定期に発生していた。この取り組みでは、CCBJIの店舗配送トラックが稼働していない時間帯に、ファミリーマート店舗への常温商品の配送に使用することで、空き車両を有効活用する。取り組みの効果を検証したうえで実施エリアの拡大を検討していく。
CCBJIでは、昨年8月に公表した中期経営計画「Vision2028」(24~28年度)において、「サプライチェーンの最適化」を重要戦略のひとつに掲げており、一層の最適化戦略を追求していく。髙木氏は今後の取り組みについて「物流最適化に終わりはなく、拠点の統廃合や輸送距離削減は今後も継続していく」としたうえで、「荷物がしっかりパレタイズされていて、倉庫での付帯作業がなく、荷待ち時間も少ないという環境をつくることができれば、多くのドライバーに喜んでもらえる。そうしたことの積み重ねで、運送会社からCCBJIの仕事を受けたいと思われるような〝選ばれる荷主〟になりたい」と、さらなる先を見据える。
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