カーゴニュース 2026年8月18日 第5459号
相談への回答に必要な工数算出、料金を提示
同プロジェクトの拡大にあたっては、長年の商慣習からの脱却が課題となった。輸出入業者の多くは、通関士に対するEPA関連の相談業務は通常の通関手続業務の一環としてとらえており、相談業務で追加料金を収受することは困難だった。
そのため、同社は相談内容に応じた料金体系を整備し、有償サービスとして提供している。同社営業部と連携したうえで継続的な交渉を実施し、23年に最初の有償依頼を受託した。濱西氏は最初の依頼について「輸入事業者から、原産地認定基準について相談された」と明かし、「実績のある商品の依頼だったが、現在は新製品の輸入に関する継続的なアドバイスを行っている」と説明する。
製品開発にまで踏み込んだコンサルも構想
同社では今後、さらなるEPA活用に向けた支援業務の展開も計画。輸出入業者が新製品を開発する際に、その原材料・仕様書・製造工程表を事前に確認することでEPAの活用可否を検討し、アドバイスする体制などを構想している。内片氏は「例えば、この材料の構成比が50%を超えればEPAを適用できる――といったアドバイスが可能」とした一方、「製品開発にまで踏み込んだコンサルティングはEPA関税認定アドバイザーの領域ではないため、これから枠組みを整えていく」と話す。
主たる業務である通関業務については、生成AIを活用したフローの見直しにも取り組んでいく。現在、顧客システムとのデータ連携による申告書作成は行われているが、連携がない場合は書類受領からNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)登録までの大部分の工程を人力で行っている。この工程に生成AIを取り入れて作成業務全体を効率化することで、作成業務に携わる通関士の負担を軽減する。濱西氏は「あくまでも通関業務の品質は維持し、申告書作成行程を効率化することで、EPA関税認定アドバイザーのような、より専門性が高く付加価値のある業務へ通関士を再配置でき、また、将来的な人員不足への対応にも寄与する」と取り組みの意義を語る。
EPAを通じて企業価値を高める
内片氏はEPA利用拡大に向けた課題として、「輸出におけるEPA利用は相手国の輸入事業者のメリットが大きく、日本国内の輸出事業者にその効果が見えにくいため、利用拡大に課題がある」と述べる一方、「当社は海外現地法人とのネットワークを活用し、EPA適用によるサプライチェーン全体での効果を荷主に提案できる強みを有している。輸出事業者側には見えにくいメリットを可視化することで、EPAの積極的な活用促進につなげていきたい」と強調する。
濱西氏は「荷主によるEPA活用そのものは当社の収益拡大に直結するものではない。しかし、EPAを活用した付加価値の高い提案を通じて、阪急阪神エクスプレスの価値とプレゼンスを向上させ、荷主のサプライチェーン全体の最適化に貢献していきたい」と積極的な姿勢を見せる。
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