カーゴニュース 2026年8月25日 第5461号
中古自動車の越境ECサイト運営を手がけるビィ・フォアード(本社・東京都港区、山川博功代表取締役)は、2025年12月期における売上高と販売台数で過去最高の業績を記録した。中東・紅海情勢の悪化といった地政学リスクに伴う国際物流の混乱にも、船会社との関係強化や船舶の使い分けなど柔軟な対応を進めることでリスク回避に注力。安定した出荷体制の構築と在庫滞留の抑制を実現している。
メインヤードを全国4ヵ所に整備
ビィ・フォアードは自社ECサイトを通じて、世界210以上の国と地域に向けた中古車や中古車部品の販売事業を展開。ECサイトでは自社で調達した車両のほか、大手中古車販売企業の店頭在庫なども取り扱う。04年の創業から順調に事業を拡大し、25年12月期の売上高は1609億4642万円、中古車の販売台数は19万台となり、過去最高を記録した。
中古車の主な調達はオークションで行い、調達した車両は保管拠点であるヤードへと搬送。受注が入り次第、海上輸送で各国へと輸出する。調達はあらかじめどの国や地域で、その車種がどれだけ需要があるかを綿密に調査し、購買計画に組み込んだうえで行う。
ヤードは関東、中部、関西、九州をメインに全国50ヵ所以上を設け、円滑な海上輸送のため主に港の付近に設けている。また、保管できない分の車両を蔵置するための小さなヤードも整備。最も大きなメインヤードでは約6000台を保管でき、基本的には屋外での保管となる。車両の管理は協力会社に委託。調達した車両がヤードに届くまでは平均4日程度だが、北海道など遠方で調達した場合は1~2週間かかることもある。
中古車のラインアップはSUVなどの主力商品に加え、トラックやバス、フォークリフトといった業務用の車両も取り扱い、トラックは主に東アフリカで需要が多いという。取扱台数が最も多いのは人気の高い日本車だが、海外の車種も販売。三国間貿易になることもあり、たとえば韓国の在庫車両が現地のヤードに保管されている場合、日本側で受注し、ヤードから注文先の国・地域へ輸送する――といった流れになる。
地政学リスクで船会社との交渉トレンドに変化
近年の中東情勢の悪化に伴う紅海の渡航制限やホルムズ海峡の封鎖といった地政学リスクは、ビィ・フォアードの物流面にも影響を及ぼしている。同社では、かねてより有力な市場であるUAE(アラブ首長国連邦)向けのビジネスを昨年末から強化したものの、年が明けてまもなく発生したホルムズ海峡の封鎖が計画に水を差した。しかし、従来からの販売網は残っているため影響は限定的だという。
他方、紅海の渡航制限では緻密な対応を余儀なくされた。同問題では、多くの船舶が安全確保のため、スエズ運河を避けたルートを選んでいることから、航路延長に伴う輸送の長期化が発生。世界的な船腹不足や海上運賃の高騰が生じている。
物流担当を務める田中裕崇取締役はこの問題に対し、「船会社との関係を強化することでスペース確保に対応した」と説明。物流部門が船会社との綿密なコミュニケーションを重ねることで信頼を獲得し、交渉を優位に進めることに注力した。加えて、RORO船とコンテナ船を柔軟に使い分けることで安定的な出荷体制を構築し、ヤード内在庫の滞留の抑制も実現した。
ビィ・フォアードでは船会社との交渉において、メインの輸送手段であるRORO船を利用する場合はブローカーを仲介し、コンテナ船を利用する場合はほとんどを直接交渉としている。かつては船会社との交渉時に、輸送枠を大量に確保することでボリュームディスカウントによって運賃を抑える方針をとっていた。会社の設立当初は輸送台数を確保するために販売を強化し、輸送枠を押さえていた時期があったという。同社ではこうした交渉を続けることで船会社との関係性を築き上げていった。
しかし、田中氏はこの数年で船会社との交渉のトレンドに変化が起きていると指摘。「近年はスペース不足により車を積載できる台数が限られていたり、配船自体が絞られていることもあるため、貨物のボリュームで輸送枠を確保するというアプローチが難しくなっている。現在はコストをかけてでも、安定した輸送を実現することを重視し、船会社との交渉に臨んでいる」と語る。
コスト上昇のなかでも「クオリティ維持を要望」
輸送コストの今後の上昇は避けられないため、現在はなるべく上昇幅を抑えつつ必要な輸送枠を確保することに努めている。海上輸送だけでなく、配送先への陸上輸送や協力会社に依頼している諸々の業務でもコスト上昇が続くなか、田中氏は「値上げを受け入れる一方で、ある程度のクオリティを確実に維持してもらえるように交渉することが重要となっている」と指摘する。
ビィ・フォアードではコア事業である中古車EC販売のほか、同事業で培った輸送ネットワークやノウハウを活かした海外輸送サービス「ポチロジ」も展開している。海外に荷物を送りたい企業や個人を対象に、国際輸送やコンテナ混載、中古車輸送などを、書類作成などの輸送手続きから現地配送までワンストップで提供するもの。米国が関税政策のひとつとしてデニミニスルール(少額貨物の免税措置)を廃止したことに加え、昨年秋から始まったカナダの郵便ストライキを追い風に、足元で需要が増加傾向にあるという。
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