カーゴニュース 2026年8月18日 第5459号
大手食品メーカーであるキユーピーの倉庫部門を源流に、国内外で高品質なコールドチェーン物流を展開するキユーソー流通システム(本社・東京都調布市)。2028年を最終年とする中期経営計画の重要施策として、国内でサービスの再整理やセグメント再編を進めるとともに、海外ではインドに進出し事業拡大を推進。会社の強みである「現場力」を武器に経営目標の達成を目指す。富田仁一社長に足元の事業動向や今後の経営戦略、将来の企業像について聞いた。(インタビュアー/松浦優樹)
適正料金収受は順調、コスト抑制へ荷主と連携
――現在のコールドチェーンを取り巻く環境について教えてください。
富田 人口減少や物価高騰を背景に、物量がコロナ禍前まで回復しきれていない、といった状況です。それに加えて、ドライバー不足といった物流課題が顕在化したことで、これまで物流事業者が長い時間をかけて積み上げきたビジネスのバランスが崩れてきているため、経営の舵取りが難しい時代が来ていると感じています。「2024年問題」の本格化から丸2年が経とうとしている現在、長距離の幹線輸送は車両の確保が難しくなりつつあることから、地場配送や近距離輸送へシフトする事業者も目立ってきました。
また、燃料費の高騰や賃金上昇などに伴うコストアップへの対応も喫緊の課題です。この流れは当分続いていくと見ており、当社としてはコストの上昇分をしっかり料金へと転嫁していくことが重要だと認識しています。
――貴社の事業における近年の荷動きに変化はあったのでしょうか。
富田 国内については今年の4月までは比較的好調に推移していました。5月は商品の値上げの動きもあり、昨年と比較して低調だったものの、6月に入ってまた持ち直してきているところです。
他方、海外では昨年の上半期において、インドネシアで大手荷主が自前の保管設備を整備したことにより、当社への委託分が減少し、非常に厳しい状態が続きました。ただ、年後半からしっかりと営業に注力したことで荷動きを持ち直したこともあり、今期の上半期時点で荷量はプラスに転じています。
――適正料金収受に向けた荷主へのアプローチは今のところ順調なのでしょうか。
富田 料金改定に関しては現状ほぼ転嫁を受け入れてもらえており、基本的には順調です。当社は「食品」という人々の生活に欠かせないモノを運ぶエッセンシャルワーカーであるため、我々が事業を継続できなくなってしまうことで社会に対して重要な役割が果たせなくなり、人々に迷惑をかけてしまうことになります。事業を継続するためにも、適正な料金をいただく必要があります。私が常日頃から唱えているのは「かかるものはいただき、かかるものはキチンと支払う」という考え方です。
コストに関しては、ストレッチフィルムの値上がりが顕著となっており、当面の分は確保しているものの、供給不足もあって今後は難しいかもしれません。また、車両の価格も高騰しており、こうしたコストの上昇を荷主に理解してもらえるよう、伝え方を工夫していかなくてはいけません。
――業務効率化によるコストの抑制といった施策はどのように進めているのでしょうか。
富田 荷主は商品の値上げを進めていくなかで、このままではこれ以上値上げすると本当にモノが売れなくなってしまうという段階にきてしまいます。しかし、荷主が従来のような受注や配送、保管を当社に依頼しているままだと、こちらとしてもコストに合わせて料金を上げざるを得ません。そのため両社で連携してそれぞれのコストを抑制していくことが重要です。
たとえば、前々日受注を徹底するなどの工夫をすることで、物流コストがこれだけ抑えられるといったことを荷主に提案していく必要があります。当社では今期を、そうした効率化に向けた取り組みを一緒に行える荷主を選定していく年に据えており、前向きに考えてくれる荷主はずっと付き合っていくべき取引先だと考えています。
また、そうした荷主はマーケットから支持されている企業ですので、当社としてもしっかりと業務にあたって信頼を積み重ねていけば、仕事をさらに任せてもらえるようになり、結果として荷量の拡大にもつながるものと考えています。
――運賃やコストに関わることとして、28年をメドに導入が予定されている適正原価制度についてのご認識をお聞かせください。
富田 メーカーの場合、商品を作る際の原価というのは比較的算出するのは容易だと思いますが、物流サービスはそうもいきません。同じ商品を満載で積んで、同じルートだけを走るといった仕事ではなく、共同配送事業で在庫を預かっているものがあれば、当社が配送するもの、配送を委託するものと業務の形態が様々であり、昨日と今日で原価が同じであるということがありえないため、厳密に正しい原価を算出するのは難しいと思っています。ただ、今後は荷主に対して原価に基づいた内容で交渉していくことは避けられないため、トータルでかかったコストから算出するといった工夫も必要となります。
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