カーゴニュース 2024年11月5日 第5289号
国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長(写真)は10月29日、専門紙記者会見を開き、宅配便の再配達率削減に向けたポイント還元実証事業を開始したことを報告し、「EC事業者や大手宅配事業者の取り組みが利用者に周知され、再配達削減の意義が浸透することを期待する」と表明した。
楽天のポイント還元がスタート、LINEヤフーも
再配達削減の実証事業の動きをみると、EC事業者では楽天が10月11日から「1回受け取りで300万ポイント山分けキャンペーン」を開始。近日中にLINEヤフーが、配達指定日に余裕のある日付を選択した利用者にポイントを付与するキャンペーンを開始することとなっている。また、宅配事業者では大手のヤマト運輸、佐川急便、日本郵便も再配達削減の実証事業に参加する予定。
鶴田氏は「宅配の再配達がドライバーの負担になっているほか、CO2排出量の増加など環境負荷にもなっており、これまでも国土交通省や環境省、経済産業省など関係省庁が再配達の削減を呼びかけてきた」としたうえで、「政府が昨年取りまとめた『物流革新に向けた政策パッケージ』などに基づき、より強力に取り組みを推進する。今回のポイント還元は利用者にとって身近なEC事業者や宅配業者が行うもので、行政のアピール力を上回る効果があると考えている。再配達削減の意義が浸透することを期待している」と述べた。
「6%目標」に向けて取り組みを着実に
「物流革新に向けた政策パッケージ」は物流の持続的成長を図る政策の主要項目に、①商慣行の見直し②物流の効率化③荷主・消費者の行動変容――の3つを提示している。荷主・物流事業者にとどまらず、一般消費者の理解と協力を得ながら物流を安定的に支えるための環境整備に取り組む方針で、宅配の再配達削減もその一環として実施している。
国交省は再配達率削減を図る全国のEC事業者や宅配業者に対し、再配達率削減ポイント付与実証事業として1配送あたり5円を補助する。また、再配達の抑制に資するシステムの改修を行う企業に1社あたり最大1億5000万円を補助。さらに、再配達によるドライバーへの負荷を軽減するアプリの実証事業に参加する企業に1社あたり4000万円を補助する。補助対象の企業はすでに決定済みで、実証事業を順次行っていく。
楽天のポイント還元キャンペーンは、10月末までのオーダー、今月7日までの商品受け取りを期間としている。キャンペーンの終了後は楽天独自の再配達率削減の取り組みを実施する。
鶴田氏は再配達率削減事業が拡大することで「消費者に対して再配達を減らしていく意識づけが着実に進んでいくものと期待している」と述べた。
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