政府は10月30日、石破茂首相就任後、初めてとなる第30回新しい資本主義実現会議を開催した。石破首相（写真）は、「コストが上昇する中での価格の据え置きなどにも対応するため、下請代金法の改正についても早期の実現を目指す」と述べた。

　「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の徹底に向け、各所管省庁が各業界団体と連携し、指針の内容を踏まえて策定・改定された自主行動計画の徹底やそのフォローアップを実施。指針の遵守状況についての実態調査およびその結果に基づく改善を年末までに完了させる。

　公正取引委員会と中小企業庁は、指針の遵守状況に関する調査結果を踏まえ、独占禁止法と下請代金法に基づき厳正に対処。加えて、労務費の価格転嫁をさらに促進させるため、パートナーシップ構築宣言の拡大と実効性の向上を進めていく。   

　適切な価格転嫁を新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させるため、下請代金法について、コスト上昇局面における価格の据え置きなどの事案や荷主・物流事業者間の取引にも適用できるようするとともに、事業所管省庁と連携した執行を強化するため事業所管省庁の指導権限を追加するなどの改正を検討し、早期に国会に提出する。

　下請代金法の執行強化も図る。具体的には、適切な価格転嫁を新たな商習慣としてサプライチェーン全体で定着させるため、公正取引委員会では、事業所管省庁とも連携した執行を強化するための体制整備を図る。中小企業庁は「下請Ｇメン」に加え、新たに、「下請かけこみ寺」（中小企業の取引トラブルの相談窓口）の調査員との連携により、中小企業の取引実態に関する情報収集体制を強化する。問題のある発注事業者の情報を追加的に収集するなど、政府が把握する取引情報を、下請代金法の執行において効果的に活用する。

　人手不足が深刻な物流分野における生産性向上を図る取り組みを進める。荷主・物流事業者が荷待ち・荷役時間の削減や倉庫業務の省力化のためにトラック設備（クレーン・昇降装置）・予約システム・自動倉庫等を導入することを支援。物流分野のＧＸ・ＤＸに加え、トラック運送から鉄道・海運等の大規模輸送への円滑なモーダルシフトを推進するなど物流分野の構造転換を加速するとともに、荷主・物流事業者の悪質な行為を是正する「トラックＧメン」の活動を強化する。