カーゴニュース 2024年11月14日 第5292号
国の物流政策がユーザー数拡大をけん引
――大手荷主が続々と導入を進めるなど、「MOVO」シリーズは一気に普及が進んできたように感じます。シリーズのユーザー数は現状、どれくらいの規模となっているのでしょうか。
佐々木 ユーザーの定義にもよるのですが、「MOVO」シリーズを利用するためのIDを保有している事業所の数は、現在(24年10月時点)で2万6000件を超えています。今期中には3万件を超えたいと考えていますが、毎月1000件程度のペースで増えており、達成は目前です。
23年と比較すると事業所数は倍増しているのですが、これは政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」と改正物流法の成立・公布が影響し、ユーザーの大幅増をけん引した結果です。政府が「2024年問題」などの物流課題に対し、解決の指針となる明確な打ち手を提示したことで、多くの企業が具体的な対応を取りやすくなりました。これにより、「MOVO」シリーズへの関心が広がっていったのだと考えています。
とくに「ムーボ・バース」は、一気に全拠点へ導入するというお客様が非常に多くなっています。政策パッケージでは荷主に対し、トラックの待機時間の把握を求めており、その対応のためにも全拠点でデータを取る必要があると考えているお客様が多いようです。
また、荷主だけでなくドライバー向けにも、業務支援アプリ「MOVO Driver(ムーボ・ドライバー)」というソリューションを提供していますが、こちらは現在、ダウンロード数が6万件を超えており、年内には10万件に達する勢いです。ドライバーの数は全国で約80万人いるとされている中で、かなりの割合がこのアプリを利用していることになります。
ユーザー数が加速度的に拡大し、企業間物流の世界で様々な事業者が「MOVO」というひとつの仕組みにログインすることで、各事業者が一緒に取り組みを始められる環境が育ってきつつあると実感しています。
――ソリューション普及の要因となっている改正物流法ですが、開発にはどのような影響をもたらしていますか。
佐々木 今回の法改正では、元請け事業者に対し、実運送事業者の名称や貨物、区間などを記載した「実運送体制管理簿」の作成が義務付けられました。当社では改正物流法の閣議決定から1ヵ月足らずのスピードで、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」に管理簿を簡単に出力できる機能を追加しています。法改正によってコンプライアンスの遵守がより厳しく求められるようになり、アナログで対応すると非常にコストがかかる部分を「MOVO」の仕組みで対応できるように機能をアップデートするという取り組みが増えています。配車管理のデジタル化に対する課題意識を感じていたユーザーも多く、おかげさまで「ムーボ・ヴィスタ」には多くの引き合いをいただいています。
一方で、改正物流法では荷主が遵守すべきいくつかの事項を掲げていますが、そうした部分に対する危機感が薄い会社が、まだまだ多いとも感じています。かねてより、行政や企業が開催するセミナーでの講演などを通じて荷主の意識改革を促す活動に取り組んでいますが、まだ浸透が不十分だと感じています。
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