物流子会社やフォワーダーなどが参加

カーゴニュース 2025年2月4日 第5313号

国交省
国際物流のRTI管理でセミナー開催

JPR、日新、丸紅ロジなどが事例発表

2025/02/03 16:00
行政 グローバル物流 セミナー・イベント

 国土交通省は1月29日、「国際物流におけるリターナブル物流容器(RTI)の適切な管理に向けたセミナー」を対面・オンラインのハイブリッド方式で開催した。当日はRTIの運用とその管理に関する現状と課題が報告されたほか、フォワーダーなどによる取り組み事例の紹介が行われた。

 

 同セミナーは、環境にやさしく、シームレスな物流を実現するRTIの普及促進に向けて行われたもの。セミナーの冒頭、国交省物流・国際物流室の牧野武人室長が「国際物流でのRTI利活用は、荷役負担の軽減や効率化など物流革新に資する取り組みとなる」と挨拶。「RTI利用にはコストやCO2の削減、再輸出・再輸入免税の適用といったメリットがある。その効果を最大限発揮するには適切な管理が必要だが、そのためには多くの課題が残っている。このセミナーがRTIの管理・利活用の一助になれば幸いだ」と述べた。

 

 引き続き、牧野氏が国際物流におけるRTI利用の現状を説明。調査事業として2022年度に実施されたRTI利用の定量的効果の試算結果と、23年度に行われた日中韓での実証輸送の結果を報告した。このうち、実証輸送では「日本の輸入通関では再輸入免税が、韓国では再輸出免税が適用されたが、中国では少額免税が適用されるなど、当初の想定とは異なった結果となった」と報告した。

 

 続いて、日本パレットレンタル(JPR)と豊通物流が国際物流でのRTI管理の現状と課題についてプレゼンテーションを行った。JPRはリターナブル運用での物流容器のレンタルについてメリットや課題を説明。レンタルの場合、着荷主側にある空きパレットを回収・保管する際にレンタル事業者が既存の仕組みを利用できるとした。一方、パレットに対する免税措置が制度上適用可能な国はあるものの、手続きの煩雑さから実運用に至らないケースもあると指摘した。

 

 豊通物流はRTI導入のメリットを紹介。同社は積み重ねが可能な2種類のスチール製パレットボックスを運用することで、木製パレット利用時と比較して、40‌ftコンテナやトラックへの積載効率を約1・5倍に、保管効率を約3倍に向上したと報告。また、繰り返しの利用によりランニングコスト削減も実現したという。

 

RTI利用拡大、免税簡素化などが課題に

 

 その後、東計電算、日新、丸紅ロジスティクスによるRTI利用に関する取り組み事例紹介が行われた。東計電算は、貼付コードとスマートフォンを利用したパレット管理システム「PACSPLUS(パックスプラス)」の機能と、いすゞロジスティクスや鉄鋼メーカーによる導入事例について説明した。

 

 日新はRTIの開発・導入・管理・返送をワンストップで提供するサービス「ハコラボ」の概要を説明。また、同サービス向けのソリューションとして、RTIの紛失や盗難、破損時の修理を保障する「ハコラボ保険」と、RTI利用時の物流費とCO2排出量を算出・比較できる「ハコループ」を紹介した。加えて、協和工業、住友理工、東洋運輸による「ハコラボ」の導入事例も発表した。

 

 丸紅ロジスティクスは、昨年9月から本格運用を開始した日中間での「パレットラウンドユース」について説明した。この取り組みはJPR、ファイントゥデイ(FT)、JNTLコンシューマーヘルス(Kenvue)との4社連携で行っており、国内用レンタルパレットを日中間で循環利用するもの。年間10万枚のパレットを循環利用することで、CO2排出量を年間最大400t、トラック待機時間は年間最大約5000時間の削減を見込む。取り組みの課題として、日本側に4社、中国側に4社の計8社をはじめ、委託先運送会社など多数のプレイヤーが存在していることから、密な連携が必要であることなどを挙げた。そのうえで、今後は中国だけでなくASEAN地域や北米も対象に、国際輸送での循環パレット枚数で100万枚規模を目指すとした。

 

 最後に、質疑応答によるパネルディスカッションが行われた。輸出入の免税制度が国によって異なり手続きが煩雑であることから、国際的に簡素化へ向けた動きがあるのかという質問に対し、JPRからは「日中韓とASEANの7ヵ国の10ヵ国によるアジアパレットシステム連盟(APSF)が組成されている。平パレットについては、10ヵ国間で輸送する場合の免税適用に向けた動きがあり、2030年をメドに、免税措置の適用要件や手続きの簡素化に向けて検討を進めていく。一方で、ASEANの7ヵ国はパレットの利用率が低く、連盟に参加する代表団の位置付けが各国内で低いことから、国ごとに行政との対話に温度差が生じている」との説明があった。

 

 また、今後のRTI利用拡大に向けて特に必要な取り組みについて参加者からは、管理工数の削減や、運用に参画する会社間でのRTI管理に対する充分な合意形成といった意見が示された。

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