カーゴニュース 2025年2月13日 第5315号
国土交通省は5日、「トラック運送業における多重下請構造検討会」(座長=野尻俊明・流通経済大学名誉教授)の第3回会合を開催した。多重下請構造の解消に向けた課題を、〝上流〟〝下流〟〝上下流の取引ルート〟ごとに整理し、参加メンバー間で共有。次回の会合で具体的な施策の方向性を打ち出す考えだが、最終的な取りまとめは4月以降にずれこむ可能性もある。
物流子会社などに規制的措置適用も示唆
開会冒頭、挨拶に立った鶴田浩久物流・自動車局長は「4月から改正物流法が順次施行され、荷主の協力を得ながら状況を改善していく。実効性のある物流改善を実現するには、荷主とトラック事業者がクルマの両輪となって取り組んでいくことが必要。トラック側の行うべき取り組みは多重下請構造の解消だ」と述べ、物流全体の効率化に向け、トラック事業者が主体的に行う改善策として多重下請構造是正を位置付けた。
多重下請構造の解消に向けた施策の方向性は、多重構造の中で①〝上流〟に位置する元請や1次下請、トラック事業者以外のトラック事業者を利用する立場にある者②〝下流〟に位置する下請事業者③〝上下流〟をつなぐ取引ルートを担うマッチングサービス事業者――の3者の観点に立ち、次回会合で議論を深める。
〝上流〟の課題では、多重構造の中で最も優越的な地位にある元請の役割を明確化し、元請と1次下請が実運送事業者による適正な運賃収受を担保する措置を取るべきとした。また、トラック事業者ではないが、トラック運送業務を委託する立場にある物流子会社、倉庫、フォワーダーなどに対しても規制的措置を適用することを検討する可能性が示された。
〝下流〟の課題では、安価で条件の悪い仕事を引き受け、適正な競争を阻害する事業者を市場から退出させる新たな措置を検討するとともに、ダンピングの取り締まりの強化や、標準的運賃の浸透・周知を図ることが課題として提起された。また、元請・下請に加え〝水屋〟など仲介的に関与する事業者も含めたすべての者に対し、不当に安い運賃による取引を減少させる措置が必要だとした。さらに、荷主や運送を依頼する者に対し、自家用トラック(白トラ)の利用を防止するさらなる措置を検討すべきとした。
適正環境提供しないマッチングは〝淘汰〟も?
〝上下流の取引ルート〟の課題では、マッチングサービス事業者はできるだけ多重構造を介さずに安定的かつ継続的な取引が成立するよう環境を整備するとともに、輸送能力や条件に応じた適切な受発注マッチングを行う仕組みを普及させることが必要との考えを示した。そのうえで、適正な取引環境を提供できないマッチングサービス事業者が淘汰される仕組みを構築すべきとの考えも示された。適正なマッチング取引が目指すべき課題は、「一定以上の再委託の禁止」「不当に安い運賃での契約を防ぐルール」「利用者のスクリーニングや評価・与信管理」「ルールを守らない利用者への指導」などを挙げた。
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