カーゴニュース 2025年3月4日 第5320号

日本通運/航空・海運4Q業績
航空輸出は3割の増収に

海運の輸出NVOCCは増加傾向

2025/03/03 16:00
総合物流・3PL 航空 海運

 日本通運(本社・東京都千代田区、竹添進二郎社長)は2月21日、オンライン会見を開き、2024年12月期第4四半期(10~12月)の航空事業・海運事業の業績を発表した。航空事業全体の4Qの売上高は前年同期比で2割近く伸長したものの、通期(1~12月)は前年並みとなった。海運事業全体の4Qの売上高は1割強の伸びを示したが、通期では前年並みだった。

 

4Q単体の航空輸出重量は1割強の増加

 

 航空事業の4Q単体(10~12月)業績は、輸出が343億1000万円(前年同期比29・4%増)、輸入が77億9000万円(4・5%増)、国内その他が181億1200万円(1・2%増)となり、合計602億1200万円(16・1%増)となった。輸出では欧米向けに自動車関連の大型スポット案件を取り扱ったことと、東アジア向けで半導体関連の旺盛な需要が続いたことが売上高を押し上げた。


 4Q単体の輸出重量は5万5606t(12・7%増)となった。自動車関連、半導体、電機・電子を中心に荷動きの回復が続いた。米州向けは1万1495t(7%増)となり、中西部向け自動車関連や西海岸向けの半導体関連が堅調だった。欧州向けは8361t(24%増)となり、ベネルクス、フランス向けの自動車関連の大型スポット案件が寄与した。東アジア向けは2万5089t(17%増)となり、台湾向け半導体関連、中国・韓国向けの電機・電子が好調だった。南アジア向けは1万660t(2%増)となり若干伸び悩んだ。序盤は半導体関連や電子部品を中心に堅調に推移したが、中盤は前年にあった自動車関連のスポット案件の反動により減少し全体では微増となった。また、輸入件数は9万3631件(0・7%減)となった。電子機器や自動車関連の新機種発売に関連した需要が続いた一方、精密機器関連が低調だった。生鮮品はサーモンなどの需要が好調だった。国内貨物の売上高は増収となり、マイナンバー保険証関連やPC・タブレット関連、鮮魚など生鮮品などの取り扱いが好調だった。また、日本郵便との共同積荷事業の取り扱いが増加した。


 航空事業全体の4Q累計業績は輸出が1165億1100万円(0・3%減)、輸入が302億1700万円(0・8%増)、国内その他が686億7800万円(0・6%増)となり、合計で2154億700万円(0・2%増)となった。

 

航空の今後の荷動きは予想困難か

 

 会見に出席したフォワーディングビジネスユニット副ユニット長・執行役員の金森祥之氏は、25年12月期第1四半期の見通しについて言及。国内航空では医療機器関連の反動減があるものの、コスト削減・適正化などの取り組みを推進することで堅調に推移すると見込んだ。一方、国際航空は「非常に予想が難しい状況にある。1月の輸出は中国の春節の影響があるものの、全体では前年を超える結果となった。2月は春節で止まっていた東アジア向け貨物が再開した分、1月よりも増加傾向にあるが全体的な荷動きは鈍く、弱含みの様相を呈している。輸入についてもほぼ同じ動きで、輸出入ともに先行き不透明となっている」とした。


 米トランプ政権の発足による関税政策の影響について「メキシコは北米における自動車産業の一大製造拠点ということもあり、大きなサプライチェーンの変更も予想される。中国に対する関税政策によっては中国向け半導体関連の荷動きに影響が及ぶ可能性がある」とした。また、国内航空では航空保安制度(KS/RA制度)が3月から厳格化されることに関して「適切な対応を図るとともに、ネットワークを活用することで十分なスペースの確保を図り、顧客ニーズに対応していく」と表明した。

 

輸出NVOCCの取扱量増加に注力

 

 海運事業の4Q単体の業績は、輸出が246億8300万円(前年同期比31・6%増)、輸入が147億600万円(0・3%増)、国内・その他が160億4900万円(5・2%増)となり、合計554億3800万円(13・9%増)となった。


4Q単体の商業貨物業績をみると、日本発輸出NVOCC数量は6万1040TEU(1・2%増)となった。米州、東アジア、南アジア・オセアニア向けが増加した一方、欧州向けは減少した。日本向け輸入NVOCC数量は4万8005TEU(0・4%増)となった。


 会見に出席した国内定期船部、港湾運送部担当兼フォワーディングビジネスユニット長・執行役員の安藤恒夫氏は日本発輸出NVOCCに関して「中期経営計画における中間目標は25万1000TEUとしていたが、24年は結果的に22万9055TEUとなり、対目標進捗率は91%となった。24年の後半にかけて数量が増加し、回復基調となった。25年はさらに目標を積み増し、27万1000TEUの達成を目指す」と述べた。また、25年の見通の海運市況について「昨年の不透明な世界情勢は一定の安定化に向かっているものの、外部要因により先行きが見通せない状況は25年も続くと予想される」と語った。そのうえで今期の取り組みについて「種々の拡販施策を実施するほか、グループ入りしたカーゴパートナー社やトラモ社との協業による規模拡充を図る。加えてEnd To End のロジスティクスソリューションを提供し、新分野の拡大に取り組み売上高・利益の確保にまい進する」と意欲を述べた。


 4Qの各事業をみると、港湾運送(ターミナル業務)の売上高は177億9800万円(0・8%増)となった。主要業務のコンテナターミナル業務は全体的には取り扱いが減少し、数量は前年同期比2・6%減となった。海外引越しは輸出が26億2000万円(8・8%増)、輸入が7億3900万円(8・0%増)となった。内航海運のコンテナ取扱量を航路別にみると、「東京~北海道」は5万7800個(389個増)となり、運賃収入の値上げ効果により1億1100万円の増収となった。「東京~九州・瀬戸内」は3万2800個(6900個増)となり、9700万円の増収となった。「東京・大阪・福岡~沖縄」は数量が伸び悩み、800万円の減収となった。


 海運事業全体の4Q累計業績は、輸出が817億1100万円(1・5%増)、輸入が568億7300万円(4・1%減)、国内・その他が607億3700万円(1・3%増)となり、合計で1993億2100万円(0・2%減)となった。    

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