カーゴニュース 2026年6月4日 第5440号
ダイフク(本社・大阪市西淀川区)の寺井友章社長は5月28日、東京本社(東京都港区)で記者会見し、2030年度までの長期ビジョンで掲げる売上高1兆円の達成に向けた成長戦略について説明した。そのなかで寺井氏は、26~29年に成長投資として約520億円を充て、マザー工場に位置づける滋賀事業所(滋賀県日野町)の生産能力増強などを図る意向を表明。また、工場や物流施設の自動化要請の高まりに対応するため、自律的に動くことが可能なフィジカルAI搭載のヒューマノイドロボット(ヒト型ロボット)の開発に注力し、物流分野ではピッキング作業の省人化を進めていくことに強い意欲を示した。
同社は現行の27年を最終年度とする現行中期経営計画で、通常の設備投資や研究開発費とは別枠で戦略投資枠800億円を設定しており、今後投じていく520億円の投資もその一環となる。
具体的には、滋賀事業所で約300億円を投じ、イントラロジスティクス事業向けの「P棟」と、半導体生産ラインおよび自動車生産ライン向けの「O棟」の2棟を新築することを明らかにした。滋賀事業所では25年7月にイントラロジスティクス事業、今年4月に半導体生産ライン向けの新棟がそれぞれ稼働しており、生産能力の増強を継続的に行うことで半導体や物流関連の旺盛な自動化ニーズに対応していく。
さらに、半導体クリーンルーム向け天井搬送システムの非接触給電装置や電源パネルなどを生産する小牧事業所(愛知県小牧市)でも約100億円を投資して改修工事を行う。いずれの施設も29~30年にかけて建設や改修を完了させる。これにより、23年比での生産スペースはイントラロジスティクス事業で約1・3倍、半導体クリーンルーム事業で約2倍に拡張する。
M&Aでは、自動車工場の搬送システムや塗装・表面処理設備を手ガけるドイツのEISENMANN(アイゼンマン)を今年7月に約120億円で買収し、欧州でのオートモーティブ事業拡大の足がかりにしていく。
寺井氏は「26年第1四半期(1~3月)の受注高は四半期ベースで過去最高となっており、このまま積み上がれば26年通期では売上高7000億円を達成できる」と述べ、来期(27年12月)の売上高8000億円の達成も十分可能との見通しを示した。さらに、30年度の1兆円達成に向けても「需要が旺盛なイントラロジスティクス、半導体クリーンルーム事業を伸ばすことで1兆円近くまでは達成できる。足りないところは、(M&Aなど)インオーガニック投資などで補っていく」と説明した。
フィジカルAI実現に向け開発強化
生産能力の増強に加えて、次なる成長戦略に位置づけているのが、AI・ロボティクスなど先端技術の開発。同社では24年以降、技術開発を本格化し、ヒューマノイドなど人と協働できる技術開発へ投資を継続している。
寺井氏は会見のなかで「フィジカルAIを目指さなければいけない。ヒューマノイドロボットを物流システムの中に組み入れることで人手不足を補完することができる」と指摘。まずは画像認識技術などと連携させながらピッキング領域での実用化を視野に入れていく。ヒューマノイドの形状については「ヒト型にこだわらず、例えば脚部分にAGVを搭載することなども想定している。30年には現場実証を始めたい」との構想を語った。
そのための研究開発体制の整備も進めており、昨年の「京都Lab」に続き、今年3月には「東京Lab」を開設。27年には京都で90人体制、東京で50人体制に増強するなど開発体制を強化していく。ただ、「開発についてはオープンに考えている」と述べ、ロボットを制御するソフトウェア部分は自社開発にこだわる一方で、ハードウェアの部分は他社の技術と連携するなど柔軟な体制をとっていくとした。
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