「目安箱」の運用イメージ

カーゴニュース 2026年6月2日 第5439号

オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日

FOCUS
通関連
価格転嫁促進、立替払い解消へ「目安箱」設置

関税局、公取委と荷主情報を共有

2026/06/01 10:00
全文公開記事 FOCUS グローバル物流 団体

 日本通関業連合会(岡藤正策会長)は、通関業者と荷主の不適正な取引に関する情報提供窓口「目安箱」を通関連ホームページに開設する。通関業者が荷主に対し、通関業務料金の価格転嫁や関税等の立替払い解消を申し出た際に、交渉に応じなかったり、取引中止をにおわせる行為が見られた場合に、当該荷主の情報を提供できるようにする。「目安箱」に寄せられた情報は守秘義務を守り、精査したうえで財務省関税局、さらには公正取引委員会にも共有される。6月から運用を開始し、通関業者の経営課題解決をサポートしていく考えだ。

 

労務費等を適切に転嫁していく必要

 

 通関業務料金については、旧通関業法では「財務大臣が必要な定めをすることができる」と規定されていたが、2017年の通関業法改正に合わせて規制が撤廃され、料金は自由化された。近年、人件費等のコストが上昇しているが、一部地区の通関業会のアンケート調査では、通関業者が荷主への価格転嫁に苦戦している実態が報告された。

 

 また、通関業者が輸入者に代わって輸入貨物の関税・消費税を立替払いする商慣習が、通関業者の健全な資金繰りを妨げ、経営のリスクとなっていることが長年指摘されている。一部地区の通関業会が昨年行ったアンケート調査では、依然として9割弱が立替払いを行っており、9割は荷主からの要請であることがわかった。

 

 昨年9月の「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」に、通関連の岡藤会長が出席した際、国際物流における通関業の重要性とともに、通関業者が抱える経営課題について説明。これを踏まえ、3月31日に閣議決定された新たな物流大綱(26~30年度)に「通関業の役割の重要性と適正な業務運営の確保」が盛り込まれた。

 

 具体的には、「通関業者が、わが国の国際物流の発展に引き続き寄与できるようにするためには、専門性豊かな人材の維持・確保と人材育成に取り組むことが可能となるよう、その高度な業務に相応する通関業務料金を設定する必要がある」とされ、「労務費等のコストを通関業務料金へ適切に転嫁していく」方針が打ち出された。

 

立替払い、取適法上の問題となる恐れ

 

 さらに、3月31日に開催された参議院財政金融委員会での質疑応答の中で、公取委は関税や消費税の支払いを荷主が通関業者に立替えさせ、中小受託事業者の利益を不当に害する場合には、取適法(中小受託取引適正化法)上の問題となる恐れがあるとの見解をあらためて示した。

 

 また、同じ質疑応答の中で、財務省関税局は、「通関業者の役割の重要性にかんがみると、その経営環境の改善を図ることは重要な課題」としたうえで、財務省が輸入者と通関業者との間での不適正な取引に関する情報を得た場合には、公取委に共有するなど、適切に対応していくとした。

 

 トラックや倉庫などでは荷主との不適正な取引について、事業者からの“通報窓口”があり、それに基づいて関係省庁からの是正指導が行われる仕組みがある。こうした他業界の取り組みも参考に、通関連ではホームページに「目安箱」を開設し、通関業者が荷主との取引で直面している問題について情報収集できるようにする。

 

 実名での情報提供を呼びかけ、寄せられた情報ついては事実確認後、財務省関税局に報告、関税局から公取委に情報が共有される見通し。公取委では、具体的な違反情報に接した場合にはしかるべく調査を行ったうえで、その違反行為に対して厳正に対処する方針を表明しており、当該荷主への是正措置が行われる見通しだ。

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