カーゴニュース 2025年3月6日 第5321号

日本通運/24年度通運実績
コンテナ取扱量は1・9%減

新商品開発やBCP対応を促進

2025/03/06 07:00
総合物流・3PL 貨物鉄道・通運

 日本通運(本社・東京都千代田区、竹添進二郎社長)は2月27日、2024年度(1~12月)の鉄道コンテナ輸送実績を発表した。取扱個数は12‌ftコンテナ換算で135万6973個(前年度比1・9%減)となった。

 

 24年度の通運事業は、物流の「2024年問題」や脱炭素に向けた動きなどの追い風を受け、鉄道へのモーダルシフトが一定程度進んだものの、全体の鉄道コンテナ取扱個数は前年を下回った。清涼飲料水やビールでは、荷主が積極的にモーダルシフトを進めたことで取扱個数が増加した一方、自動車部品、化学工業品・化学薬品、食料工業品などは低調に推移した。物価上昇の継続による個人消費の伸び悩みをはじめ、前年より多く発生した列車運休やJR貨物の輪軸組立不正問題などがマイナス要因となった。

 

 とくに激甚化・頻発化する自然災害による列車運休は、安定輸送を強みとする鉄道輸送にとってネガティブな影響を及ぼす。これに対して日通は、鉄道貨物輸送でのBCP対策の推進を最重要課題と認識し、JR貨物と共同で取り組みを進めている。官民一体のBCP会議を通じて関係者間の連携を深めるほか、独自の取り組みでは、①「Sea & Railサービス」による輸送ルートの複線化②大手物流事業会社との協業推進③重要幹線における独自バックアップ輸送体制構築④気象予測データの活用――などを推進している。なお、現在「Sea & Railサービス」は9ルートを利用し、11種類を提供中。

 

 今後の拡販戦略として重視するのは「カスタマーイン・マーケットイン志向」の商品開発だ。同社は22年3月からブロックスペーストレイン(NXトレイン)の運行を開始したが、それに続く24年4月からは東京~大阪間で第2のNXトレインを運行開始した。24年度のNXトレイン2列車の積載率は約90%と高水準となっていることを踏まえ、今後も新たなNXトレインの運行開始に向けてJR貨物と調整を進めていく。また、政府の「物流革新緊急パッケージ」に呼応した31‌ftコンテナの増備によるモーダルシフトの推進や、NXグループの得意とする「小口輸送」「国際海上コンテナ」「プロテクトBOX」などと鉄道輸送を組み合わせた新商品開発に取り組むほか、静脈物流やISOコンテナを活用した危険物輸送ニーズも見極めていく。

 

 27日に行われたオンラインによる説明で、事業統括本部通運部長の髙橋啓氏は「今後も物流の効率化と環境負荷低減に資する輸送サービスという観点から、コンテナ輸送の拡販を図る。様々なサービスと鉄道輸送を組み合わせた新商品を開発していく。お客様のニーズは確実にあると実感している」と述べた。

 

 安全輸送の取り組みも強化する。グループの理念である「安全はすべてに優先する」を徹底し、コンテナ内の貨物の偏積撲滅に向けた対策の徹底や自社所有コンテナの管理強化、貨物駅構内における事故災害防止などに向け、JR貨物や関係団体とも強く連携しながら取り組みを進める。加えて、社内教育や関係会議を定期的に実施し、輸送事故などの発生防止に注力する。

 

 25年度も引き続き、モーダルシフト需要を取り込みながら「売上の拡大」「事業利益の拡大」「安全・品質・コンプライアンスの遵守」を主軸とし、通運事業のさらなる強靭化に取り組む。

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