カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号

インタビュー
31‌ftコンテナの戦略的な増備で鉄道需要を取り込む
全国通運 代表取締役社長 永田浩一 氏

2025/03/26 16:00
貨物鉄道・通運 インタビュー

積替ステーション活用で集配戦力不足をカバー

 

 ――荷主企業に対する値上げ交渉の進捗はいかがでしょうか。

 

 永田 全国通運の営業元請においても、昨今の人件費や燃料費の高騰を背景に、代理店である全通系通運事業者や協力会社などから料金改定の要請を受けています。これに応えるべく、一昨年から荷主に対し、JR貨物に支払う鉄道運賃と集配料金の改定を要請してきました。概ね交渉は終わっているものの、まだ対応いただけていない荷主に対しては来年度での改定に向けて強力に交渉していきます。また、さらなる値上げ要請も一部から来ているので、荷主に対して粘り強く交渉していきたいと考えています。

 

 ――コンテナ集配の現場でもドライバー不足が顕在化しています。

 

 永田 確かに、通運業界でも集配戦力の不足が進んでいます。これを解決する方策のひとつとして、JR貨物が設置を進めている「積替ステーション」を積極的に活用し、鉄道コンテナ専用車両(緊締車)でなくても、集配業務を可能にする取り組みを進めていきます。積替ステーションの設置については、23年度に6駅だったものが、現在までに14駅まで増えており、さらに来年度中に22駅まで拡大する目標であり、大いに期待しています。ただ、設置数自体は増えているものの、中核駅での導入がやや遅れている面があるので、今後導入を加速してほしいと考えています。

 

 また、JR貨物のグループの日本運輸倉庫が4月1日付で「JR貨物ロジ・ソリューションズ」に社名変更し、JR貨物グループの総合物流事業の中核会社として明確に位置付けられます。物流の結節点である貨物駅の「駅ナカ」「駅チカ」での倉庫事業と貨物鉄道輸送とを組み合わせて、お客様の物流ニーズに対し最適なソリューションを提案・提供する総合物流企業への深化を目指していく取り組みであり、今後もJR貨物および日本運輸倉庫と積極的に連携しながら事業拡大に取り組んでいきたいと思っています。

積替ステーションを積極活用

 ――自然災害などによる輸送障害への対応強化も求められています。

 

 永田 今年度に新たな加入した代行輸送費用保険を営業活動に活用し、「いざという時でも安心して使える輸送手段」としてのアピールを強化していきます。実際、昨年9月に発生した羽越線での輸送障害では、この保険を活用して代行輸送にかかる経費をカバーしていく予定です。

 

 また、23年度から開催されている「山陽線における鉄道物流の災害による輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体会議」に引き続き参加していくほか、異常時対応輸送のフェーズフリー化として、西向け船舶輸送の活用についても引き続き検討に取り組んでいきます。

 

 ――これまで鉄道利用があまり進んでいなかった中距離帯でのモーダルシフトにも取り組んでいます。

 

 永田 「24年問題」を踏まえ、物量の多い600㎞前後の中距離帯を引き続きターゲットと位置づけ、800㎞以上の長距離帯とあわせて販売を促進していきます。24年2月から開始したネスレ日本様との取り組みでは、静岡貨物駅から百済貨物ターミナル駅までの330㎞の距離帯で平日に12‌ftコンテナ40基を輸送していますが、3月下旬からは50基、4月からは65基に増量されるなど順調に取り組みが進んでいます。また、ネスレ日本様以外でも、東京~名古屋、東京~仙台の中距離帯で新たな取り組みの検討が進んでいます。

中距離帯での鉄道利用を積極化するネスレ日本

安全を強く意識して業務を遂行する企業風土に

 

 ――永田社長は就任以来、経営改革に積極的に取り組んでこられましたが、さらなる経営基盤の強化や営業拡大に向けた課題を教えてください。

 

 永田 人材面を含め、いかに持続可能性の高い営業体制を構築できるかが課題だと考えています。当社は、営業担当者の担当荷主や業務内容が入社以来ほとんど変わらないため、「個人商店」化していることが営業部門の大きな課題だと指摘されてきました。これは一方で、顧客との信頼関係の醸成・維持や専門性の確保という点ではメリットがあるものの、営業人材の育成やモラールアップ、労働環境の向上という観点では問題がありました。そのため、昨年は担当荷主の見直しを大幅に実施しました。来年度もJR貨物との人事交流や部署間、本社・支社間の異動を積極的に検討・実施していきたいと考えています。

 

 経営基盤という意味では安全確立に向けた取り組みの強化も不可欠です。当社は営業メインの会社であり、集配トラックは保有しておらず、集配業務は代理店である各通運事業者にお願いしています。そうした中で、21年の年末以降、コンテナ内の積荷の偏積を原因とする列車脱線事故や私有コンテナ・ISOコンテナの部品落失事故が相次いで発生したほか、業務委託先でも死亡災害や休業災害が発生しています。

 

 当社では、22年6月に安全の司令塔となる安全室や安全担当役員を設置し、安全会議や安全総点検の実施、全通版「安全の価値観」の制定といった取り組みを強化してきましたが、当社が直接運営している千葉倉庫や梶ヶ谷積替施設の現場作業はもちろんのこと、運送の元請け企業としての立場からも、全社員が業務遂行にあたって安全を強く意識して取り組むことができる企業風土をしっかり確立していきたいと思います。

 

 このほか、「ガバナンス、コンプライアンスの強化・徹底」「人材の確保・育成と活力ある企業風土の確立」「先進的で効率的な業務運営体制の確立」「業務基盤の整備とSDGsの取り組み強化」――といった諸課題にも積極的に取り組んでいきます。

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