カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号

インタビュー
31‌ftコンテナの戦略的な増備で鉄道需要を取り込む
全国通運 代表取締役社長 永田浩一 氏

2025/03/26 16:00
貨物鉄道・通運 インタビュー

「24年問題」で通運の現場でも大きな変化が起きている

 

 ――「2024年問題」によって鉄道コンテナ集配の現場でどのような変化が起きているでしょうか。

 

 永田 当社自身はトラックを保有していませんが、荷主と代理店である全通系事業者との間に立って営業元請を行っています。その中で、当初から一部予想されていたことではありましたが、営業や作業現場の最前線でこれまでとは違う、具体的な影響や変化が確実に出てきています。

 

 まず、通運サイドにおける影響ですが、集配車両の待機時間に対する考え方が厳しくなってきました。以前は荷待ち時間が多少長くなっても「お客様だから」ということで、集配業者が容認していたところがありましたが、とくに年末などの繁忙期には待機時間が長い集荷・配達先については車両手配を断られることが多くなりました。実際、年末には納品の一部が滞り、最終となった12月30日には、お客様のトラックで貨物駅まで引き取りに来てもらったこともありました。

 

 集配業者が仕事やお客様を選別する動きも始まっています。10tトラックから鉄道コンテナへの切り替えについての相談や見積もり依頼は確実に増えていますが、リフト作業や細かいバラ積みなど集配時に効率の悪い付帯作業がある現場や、待機時間が長い現場、朝一または午前中といった時間指定がある業務は、見積もりを辞退する動きや高額な別途料金が提示されるようになっています。

 

 このほか、集荷業者が荷主に対して作業効率化を要請するケースも増えています。労働時間上限規制の厳格により、集荷配達にかけられる時間が減ってしまったため、可能な限り効率的な配車を組まざるを得ず、パレット化による作業効率化やお客様のトラックによる駅への持ち込みなどを要請されることが多くなってきました。

 

 ――コンテナ集配業者が荷主に強く要請する事態は、数年前には考えられなかった変化ですね。

 

 永田 その通りです。まさに隔世の感があります。一方、こうした通運サイドからの要請を踏まえ、荷主サイドでも集配車両の待機時間を短縮化するため、コンテナ専用バースを設置したり、バース予約システムを導入する動きが増えてきています。また、一部の飲料メーカーでは、利用するトラック事業者が時間外労働の〝先食い〟したことを受けて、年度末に近距離の鉄道利用を検討する動きが出てきているほか、安定輸送を確保するため、リードタイムを延長する動きも広がっています。

 

 26年度から全面施行される物流改正法では、規模の大きい特定荷主に対して役員クラスの物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられますが、こうした法規制を一部先取りする動きも出てきています。このような規制措置により、荷主企業における物流課題を経営レベルで取りあげる機会が増えると思われ、物流効率化やモーダルシフトへの取り組みをさらに加速させるものとして、大いに期待しているところです。

 

大型案件に依存しない収益基盤の確立を目指す

 

 ――最後に、全国通運のさらなる成長に向けた中長期的な課題についてのお考えをお聞かせください。

 

 永田 色々な切り口があると思いますが、まずは大型案件に依存しない安定した収益基盤をいかに確立するかだと思います。当社は、公用営業部が中心に行っている官公庁系の大型案件、例えば新幹線建設工事用レールなどの輸送や防衛装備庁の資機材輸送、リニア新幹線建設工事に伴う土砂輸送、川崎市の廃棄物輸送などを請け負っており、それらが安定的な収益基盤で大きな収益源となってきました。もちろん、これらの案件が一気になくなることはないと思いますし、今後もこのような案件が出てきた時には、代理店と相談してできるだけ対応していきます。しかし、入札案件は必ずしも当社が落札できるとは限りませんし、工事に関わる案件については工事が終了すれば当然業務もなくなります。従って、いま行っている案件を着実に行っていくとともに、開発営業部が行っている民間需要を中心とした案件を着実に積み上げていく必要があると考えています。これまでも政府米の輸送がなくなってからは、特積み貨物や大手スーパーや中小スーパー協業体の調達物流、食料品や飲料を中心に業容を拡大してきましたが、今後はこれらの案件をさらに拡大していくとともに、医薬品など新たな分野にも取り組みを広げていく必要があります。

 

 ――民間からの新規受託を増やすことで、事業の足場を広げていくことが重要ですね。

 

 永田 その通りです。もうひとつは社員の処遇改善です。ここ1~2年、大幅な物価上昇と人手不足の深刻化を背景に、各企業でベースアップなどの処遇改善が進んでいます。当社もここ数年、住宅手当や家族手当の新設、賞与の増額、福利厚生サービスの拡充などを実施するとともに、昨年は4半世紀ぶりにベースアップも実施しましたが、賃上げ率は世間相場の半分にも満たず、まだまだ十分とは言えません。

 

 当社の場合、多くの中小新免系通運事業者が出資してできた会社であり、これら事業者の労働条件なども考慮しながら慎重に対応していく必要がありますが、社員の平均年齢が50歳を超え、60歳以上の嘱託社員が3分の1以上を占めるという歪な年齢構成となっており、その是正に向け、ここ数年は新卒採用や若年者の中途採用を積極的に進めています。しかし、若い社員を増やし、社員に長く安心して働いてもらうためには、処遇改善を進めていく必要があり、その原資を生み出していくためにも、DXなどによって労働生産性を高めるとともに、強固な営業基盤を構築することによって、利益を上げられる会社にしていくことが重要だと考えています。

大型案件に依存しない収益基盤確立へ

永田 浩一(ながた・こういち)

 1995年新日鐵(現・日本製鉄)からJR貨物に出向、98年転籍。2012年執行役員、13年同東北支社長、15年取締役兼執行役員関西支社長、17年同経営統括本部長、18年取締役兼常務執行役員、20年6月から現職。岩手県出身。1957年生まれ

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