国内最大級となる「GLP川崎Ⅱ」(完成イメージ)

カーゴニュース 2025年4月17日 第5332号

物流不動産市場を読む!

FOCUS
賃貸用冷凍冷蔵倉庫、25年以降112万㎡超が誕生へ

旺盛な需要見込みデベロッパーの開発加速

2025/04/16 17:00
全文公開記事 FOCUS 倉庫・物流施設 コールドチェーン

 デベロッパー各社による賃貸用冷凍冷蔵倉庫の開発がますます勢いづいている。既存倉庫の老朽化や冷媒フロン規制に伴い建て替えや新造が求められている中、土地代や建築費の高騰により、冷蔵倉庫会社が自前で施設を建てるハードルが高くなり、〝賃貸〟の需要が拡大するとみる。デベロッパーからすると、高騰した建築費を賃料に転嫁せざるを得ないことから、ドライ倉庫よりも高い賃料設定で投資の回収が見込める冷凍冷蔵倉庫の開発が魅力を増している。延床面積で10万㎡を超える大規模なマルチテナント型や複数企業による共同開発、保管サービスの提供と組み合わせた施設など各社戦略を凝らし、2025年以降に竣工・計画されているスペースは約112万㎡以上にのぼる。

 

川崎に日本最大級、20万㎡超の3温度帯倉庫開発へ

 

 物流不動産を専門とするデベロッパーの中でも日本GLPは今後、冷凍冷蔵施設開発に約2000億円を投資し、28年頃までに開発面積を13万坪(約43万㎡)まで拡大する計画だ。2月には神戸市東灘区で国内最大級となる全館冷凍冷蔵および全館可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設「GLP神戸住吉浜」(延床面積約4万5924㎡)を竣工。収容能力は約5万2660t(C&F級)で、日本アクセスや水間急配など計3社が入居し、満床稼働した。

 

 また同月には、大阪市住之江区で「GLP南港Ⅰ」(約7700㎡)とマルチテナント型の「GLP南港Ⅱ」(約2万1000㎡)の開発プロジェクトが始動した。「GLP南港Ⅰ」は、JA三井リース建物と共同で開発し、26年2月竣工を予定。竣工後は冷凍冷蔵物流会社が1棟全体を専用施設として利用する。「GLP南港Ⅱ」は最大2テナント利用可能な収容能力約2・5万tの保管型施設として、26年12月竣工を予定する。

 

 さらに川崎市川崎区では、3温度帯対応の物流施設として国内最大級となるマルチテナント型冷凍冷蔵施設「GLP川崎Ⅱ」(約20万5000㎡)を27年8月末に完成予定。収容能力は約18万6100tとなり、すでにヒューテックノオリンなど2社の入居が決定している。

 

共同開発に積極的なデベロッパーも

東急不動産は新子安で共同開発に取り組む(完成イメージ)

 大手総合不動産デベロッパーも開発に意欲を見せる。なかでも積極的なのが東急不動産。1月、冷凍冷蔵設備に対応する3件のマルチテナント型施設の着工を発表。このうち、埼玉県白岡市の「LOGI,Q白岡Ⅲ」(約7万4200㎡)は26年7月の竣工を予定する。神戸市長田区の「LOGI,Q神戸新長田」(約5万6437㎡)は26年8月末の竣工を予定し、危険物倉庫の設置も計画する。

 

 千葉県市原市でJR西日本プロパティーズと共同開発する「LOGI,Q市原(仮)」(約3万4363㎡)は26年4月末に竣工を計画。

 

 このほか他社との共同開発では、横浜市神奈川区で3温度帯マルチテナント型物流施設「CBRE IM-LOGI,Q新子安(仮)」(約9万7007㎡)を着工。CBREインベストメントマネジメント・ジャパンとの共同開発によるもので、27年1月の竣工を予定している。

 

 さらに、今年3月には広島市中区と千葉県柏市で冷凍冷蔵倉庫への開発事業に参画を発表。このうち、広島市中区ではマルチテナント型の「LOGI,Q広島(仮)」(約7万8118㎡)は28年1月竣工を目指す。また、千葉県柏市では「柏冷凍冷蔵倉庫開発プロジェクト(仮)」(約1万2382㎡)を、ダイビル、大阪ガス都市開発と共同開発し、27年度の竣工を予定する。

 

冷凍保管サービスと連携した倉庫も登場

霞ヶ関キャピタルは〝保管〟も

 霞ヶ関キャピタルは他社に先駆け賃貸型冷凍倉庫の開発に注力してきた。グループの事業会社であるX NETWORK(クロスネットワーク)が展開するパレット単位の冷凍保管サービス「COLD X NETWORK」と連携した施設開発も進めている。

 

 3月に竣工した大阪府茨木市の冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD大阪茨木Ⅰ」(約2万9357㎡)は同社として関西初の冷凍冷蔵倉庫の開発となる。さらに同月、大阪市住之江区で、同社がプロジェクトマネジメント業務を受託している「LOGI FLAG TECH大阪南港Ⅰ」(約2万5247㎡)を着工し、27年10月に竣工を予定している。

 

 関東では千葉県習志野市で「LOGI FLAG COLD習志野」(約8841㎡)を26年4月に竣工予定。また、今年4月には埼玉県越谷市に「LOGI FLAG TECH越谷Ⅰ」(約1万4361㎡)を着工し、27年5月の竣工を予定する。

 

 今後は東急不動産と共同開発する「LOGI FLAG TECH名古屋みなとⅠ(仮)」(約2万1600㎡、26年5月竣工予定)をはじめ、川崎市川崎区の「LOGI FLAG TECH東扇島 Ⅰ(仮)」(約2万776㎡、26年夏竣工予定)、「LOGI FLAG TECH東扇島 Ⅱ(仮)」(約2万5402㎡、27年冬竣工予定)、兵庫県神戸市の「LOGI FLAG TECH神戸須磨Ⅰ(仮)」(約2万5466㎡、27年冬竣工予定)のほか、静岡県袋井市でも冷凍倉庫(約8万3000㎡、28年冬竣工予定)の開発を計画する。

 

大手総合デベロッパーが続々と開発に参入

 

 このほか、三菱地所はとくに大阪エリアでの開発に注力しており、3月には同社初のマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設「ロジクロス大阪住之江」(約4万3400㎡)を大阪市住之江区に竣工した。今後は同市大正区に、2件目の開発案件となる「ロジクロス大阪大正」(約2万1400㎡)を26年1月末に竣工を予定。さらに同地では3件目の「ロジクロス大阪大正Ⅱ」(約4万5430㎡)も今年1月に着工しており、26年10月末の竣工を目指す。

 

 大和ハウス工業は、大阪市住之江区で全館に冷凍冷蔵設備を導入したマルチテナント型物流施設「DPL大阪南港Ⅰ」(約8万5799㎡)を26年7月に竣工予定。今後、同施設以外で関西での開発が予定されている案件の中でも、冷凍冷蔵倉庫を開発する可能性があるとしている。

 

 東京建物は昨年12月、千葉県船橋市に新たな物流施設開発用地(敷地面積約5000㎡)を取得。同地に冷凍・冷蔵機能を備えた賃貸物流施設「T―LOGI船橋南海神(仮)」(約9917㎡)を開発し、27年の竣工を予定する。同社はこのほか、大阪市港区でも「T―LOGI大阪弁天町(仮)」(約1万9701㎡)の28年竣工を目指して開発を進めている。

 

 さらに、小田急不動産は昨年11月、兵庫県西宮市で自社初となる冷凍冷蔵物流施設「小田急不動産ロジスティクスセンター鳴尾浜コールドストレージ(仮)」(約8008㎡)の開発に着手。26年3月の竣工を計画し、尼高運輸による1棟借りが予定されている。

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