カーゴニュース 2025年12月11日 第5395号
農林水産省は政府備蓄米の緊急出庫により減収となった定温倉庫に対し、空きスペースが生じたことによる逸失分の保管料を補償することを決めた。米穀の需給や価格の安定化を図るための特別会計から備蓄米関連経費を計上し、2025年度末まで倉庫事業者に対し逸失保管料を補償する。備蓄米の大量出荷によって、備蓄保管を担っていた倉庫事業者は大幅な減収となるなど経営に打撃となっており、業界から補償を通じた支援が求められていた。
大幅な減収、日倉協、定倉協が補償を要望
今年2月に政府は備蓄米の大量放出を決定。3月から入札と出庫が開始され、定温倉庫業界は政府備蓄米の緊急出荷を実施してきた。一方、備蓄米が出庫され、在庫がなくなったことで生じた空きスペース分の保管料について、実際の保管業務を担う倉庫事業者は、全国農業協同組合連合会(JA全農)や商社、大手物流企業など備蓄米受託事業体に対して保管料の補償を求められない状況が続いていた。また、出荷量の増加による作業員の残業増加や休日作業など経費も上昇していた。
備蓄米の大量放出後、大幅な減収となった一部の倉庫事業者では経営環境の悪化が生じていることから、日本倉庫協会(藤倉正夫会長)と全国定温倉庫協同組合(太宰榮一理事長)は連名で自民党物流倉庫振興推進議員連盟(会長=浜田靖一衆院議員)に文書を提出。備蓄米制度の安定的な維持を図るため、緊急出荷などにより契約期間内に在庫が大幅に減少するなどした場合の補償について、実倉庫事業者を守る制度の新設を要望するとともに、逸失保管料の補償を求めていた。
これを受け、自民党物流倉庫議連は5月29日の総会で、備蓄米保管制度の安定的維持を図る観点から、農水省に対して逸失保管料分として1万tあたり750万円の補償を要望することを決議。9月17日には財務省に対して同様の要望を行った。一連の要望を考慮し、農水省は今年度補正予算により補償を行うことを決めた。
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