創業家の綿貫氏、髙田社長、千田社長、日本郵便次期社長の小池信也常務(左から)

カーゴニュース 2025年4月22日 第5333号

トナミHD/日本郵便
特積み×ラストマイルでシナジー創出へ

JPロジとの協業による特積み事業強化も

2025/04/21 17:00
全文公開記事 トラック輸送 M&A

 トナミホールディングス(本社・富山県高岡市、髙田和夫社長)と日本郵便(本社・東京都千代田区、千田哲也社長)は16日、日本郵便を中心とした共同コンソーシアムによるトナミHDのTOB(株式公開買付け)が成立したことを受け、都内で記者会見した。両社は、トナミグループのBtoBを中心とした幹線輸送ネットワークと、日本郵便の宅配網を組み合わせることによるシナジー効果が期待できるとしたほか、日本郵便の子会社であるJPロジスティクスとトナミグループが協業することで、特積み事業のネットワーク強じん化が進むと強調した。

 

 TOBは日本郵便、トナミHDの現経営陣、創業家の3者が出資する共同コンソーシアム会社「JWT」が2月27日~4月10日にかけて実施。買付け対象株式のうち87・24%が応募したことでTOBが成立した。今後、残りの株式についてもスクイーズアウトし、JWTがトナミHDの全株式を取得する。買付総額は約926億円となり、このうち日本郵便は約8割に相当する750億円を出資する。

 

 トナミHDはJWTの完全子会社となることで、東証プライム市場の上場は廃止となる。JWTは7月にも「JPトナミグループ」に社名変更し、約1年後の2026年6月をメドにトナミHDを吸収合併する。今後の経営体制については、トナミHDの経営陣や創業家は引き続き経営に関与していく。また、グループ従業員については、原則として同水準の処遇で雇用を継続していく予定。

TOBのスキーム

上場メリット低下でMBOを模索

 

 会見でトナミHDの髙田社長は、今回の経緯ついて「『2024年問題』などで輸送戦力が縮小するなど物流業界が難局を迎える中、上場維持のメリットが相対的に低下していたことから、非上場化の道を模索していた」と説明。具体的には、MBO(マネジメント・バイアウト)を検討する中で、金融機関を介して日本郵便を紹介されたことで「外部の経営資源を活用することで中長期的な成長が見込める。公共性が高い日本郵便とトナミが手を携えることは社会にとっても意義が大きいと判断した。当社が掲げる『和の経営理念』にもつながる」と述べた。

 

 シナジー効果については、①JPロジスティクスとの協業による特積み事業の強化②日本郵便のラストワンマイル網やBtoC機能との連携によるロジスティクス事業の拡大③日本郵便の子会社であるトール社との連携による海外から日本への一貫輸送の拡大――の3点を挙げた。JPロジとの協業については、関東・北陸・中部エリアを得意とするトナミと、西日本エリアに強みを持つJPロジとは、相互補完性が高いとした。一方、トナミグループが長期にわたって提携関係にある第一貨物と久留米運送との協業については「今後も継続していく」とした。ロジスティクス事業におけるシナジー創出については「日本郵便のラストワンマイル機能が加わることで、当社の1万3000社の顧客への提案の幅が広がる」点を強調した。

 

 日本郵便の千田社長は、トナミHDがグループに加わることについて、「物流事業を持続的に行うためには、経営基盤の強化による経営効率の改善が必須となる。トナミをグループに取り込むことで、より強じんな物流インフラの確立、全国ネットワークの強化・拡充につながる。多様な物流ニーズに対し、グループ一体となったサービス提供が可能になる点は大きい」と意義を説明。同業の特積み事業者であるトナミ運輸とJPロジとの経営統合については「現時点では考えていない」と述べた。

 

 なお、会見には創業家を代表して綿貫雄介氏(トナミHD執行役員)も出席。綿貫氏は「今回のMBOについては創業家の親族全員が賛成した」と語った。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 TUNAG for LOGISTICS 富士物流のホームページにニュースを提供中!! ゼネテック 日通NECロジスティクス提供 物流用語集