カーゴニュース 2025年4月22日 第5333号
GROUND(グラウンド、本社・東京都千代田区、宮田啓友社長)は4月に創業10周年を迎えた。同社は16日に都内で会見を開き、創業からの経緯と、現在導入が進んでいる物流施設統合管理・最適化システムの「GWES(ジーダブリューイーエス)」を中核とした今後の事業戦略について説明した。
物流改正法の施行が始まり、より俯瞰的な物流管理が求められる今後、宮田社長は「CLOにこそ『GWES』を使いこなしてほしい」と話す。
テクノロジーの活用による全体最適を指向
2015年に設立された同社は、16年にはいち早く「GTPロボット」の国内提供を開始した。19年には国内初となるAMR(自律走行搬送ロボット)の提供を開始。20年にはAI物流ソフトウェア「DyAS(ディアス)」の提供を開始し、機能拡充などを経て21年から「GWES」として提供している。
宮田社長は「当社は極めて初期から、各タイプの物流ロボットの提供を行ってきたが、ロボットによる省力化のみを目指しているのではない。テクノロジーの活用と情報の可視化でオペレーションを変革し物流現場を最適化することが当社のビジョンだ。ロボットはそのために有効なツールのひとつであり、そういった意味では、21年より提供を開始してきた『GWES』が当社ビジョンの中核に位置する」と話す。
大手企業を中心に「GWES」の導入が進む
AIを実装した情報系WESである「GWES」は、物流現場の様々なシステムから情報を取り込んで集約し、作業進捗、生産性などをリアルタイムで分析・判断する。また、実績に基づく作業予測、要員計画も行い、現場管理者の判断業務を支援・代行する。さらに複数のセンターでの運用(図)では、地域別のトレンド予測や各現場の生産性分析などで、より上位における判断の支援も可能となる。
宮田社長は「ロングテール化やリードタイム短縮などが進んできた近年の物流現場は、管理者の判断業務が増えている。これを支援することが必要だと考えた」と開発の経緯を話す。
また「情報系WESの主流は米国で、国内におけるリリースはまだ少ない。ただ『GWES』のスペックはグローバルでも優位に戦えるレベルにあると考えている。実際に『GWES』を活用し、庫内オペレーションを体系化、可視化、自動化し、全体最適を目指す大手企業が増えてきている」(宮田社長)と話す。
日本通運は昨年、NXグループのグローバル標準倉庫管理システムに「GWES」を採用。国内での運用を開始しており、今後は国内外での水平展開を予定している。また、花王も昨年6月に八王子LCで稼働を開始し、25年末までに全国44拠点での展開を計画する。現在大手の荷主企業や物流事業者を中心に導入は90拠点にまで拡がっている。会見の中で品川竜介執行役員がこれら導入企業の事例を紹介。3PL企業では「複数センターでの10%〜20%の作業コストの低減」、卸売業では「庫内作業の生産性の10%以上のアップ」、荷主企業では「常時9割以上の作業量予測精度の実現」などの実績を説明した。
物流業界の「オープンプラットフォーム」を目指す
現在「GWES」の導入企業では、各社の一拠点への導入から複数拠点への導入へとフェーズが移行している。そういった流れの中で同社では今後3年間で、1000ヵ所まで導入拠点を増やす計画を立てている。加えて欧米を中心に海外展開も視野に入れており、米国のパートナー企業数社とも協議中だという。
宮田社長は「様々な業界でプラットフォーム化が進んでおり、今後物流業界もその流れになる。各拠点・企業間の物流現場をソフトウェアで制御し、クラウド上で一元管理するプラットフォームの構築が進んでいる。当社では『GWES』を物流業界のオープンプラットフォームとなるよう、成長させていきたい」と展望する。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。