カーゴニュース 2025年4月22日 第5333号

住友ゴム  
白河工場に水素製造装置導入

タイヤ製造における脱炭素化を加速

2025/04/21 16:00
全文公開記事 トラック車両・関連機器 環境・CSR

 住友ゴム工業(本社・神戸市中央区、山本悟社長)は、白河工場(福島県白河市)に水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム」(写真)を導入し、4月から稼働を開始した。15日には関係者などを同工場に招き、お披露目会を開催した。

 

 同社は2021年に策定したサステナビリティ長期方針に基づき、同年、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や福島県の支援を受け、次世代エネルギーとされる水素を活用したタイヤ製造の実証実験を同工場で開始した。福島県内の水素製造拠点から供給される水素を用い、水素ボイラーで発生させた高温・高圧の蒸気を、タイヤ製造の最終段階である加硫工程で活用する、水素の〝地産地消〟による環境負荷低減の取り組みを進めてきた。23年1月からは水素エネルギーと太陽光発電を組み合わせ、日本で初めて、製造時(スコープ1、2)におけるカーボンニュートラルを達成した量産タイヤの生産を行っている。

 

 こうした実証の結果を踏まえ、水素の安定供給に向けた供給量の確保やコストの抑制、輸送(スコープ3)も含むさらなるCO2削減効果などを期待し、24年、「やまなしモデルP2Gシステム」の開発を統括する山梨県との合意のもと、同システムの導入を決定した。このシステムは、山梨県が中心となり開発を進めてきた次世代型エネルギーシステムで、再生可能エネルギーを活用して水を電気分解し、環境負荷の少ないグリーン水素を製造するもの。安定的な水素供給を実現し脱炭素化を加速させる技術として、国内外で大きな期待が寄せられている。

 

 同社では、年間最大100tの水素を製造、年間最大約1000tのCO2排出削減を見込んでいる。今後も引き続き従来の水素供給を受けながら同工場の脱炭素化を加速させていき、30年以降には国内の他工場への展開も視野に入れる。

 

水素を〝つくる・つかう〟の二刀流を推進

 

 15日に開かれたお披露目会には、福島県の内堀雅雄知事をはじめ多数の来賓が出席した。冒頭、水素を活用したタイヤ製造においてさまざまな面から支援・協力を受けた関係各所に感謝の意を述べた山本社長は「当社は、35年までの長期経営戦略『R.I.S.E.2035』を策定し、『ゴムから生み出す新たな体験価値をすべての人に提供し続ける』ことを目指している。これからも水素を〝つくる・つかう〟の二刀流で、持続可能な社会の実現に貢献していく」と挨拶した。また、内堀知事は「本県では『福島県2050年カーボンニュートラル』を宣言し、再生可能エネルギーの最大限の活用に取り組んでいる。とくに、カーボンニュートラル実現のカギとなる水素に着目し、さまざまな挑戦を続けている。住友ゴム工業の取り組みは、本県が目指す水素の〝地産地消〟を体現するものであり、水素社会の実現を力強く後押しするものと、大いに期待している」と話した。

 

 このほか来賓から、山梨県公営企業管理者の落合直樹氏、白河市の鈴木和夫市長、NEDOの飯村亜紀子理事、産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所の古谷博秀所長がそれぞれ挨拶した。

         

山本社長
内堀知事
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