カーゴニュース 2025年5月29日 第5342号
「イエローカード」をQRコード化、迅速な処置を可能に
「緊急連絡カード(イエローカード)」に関してもデジタル化を推進し、安全確保の取り組みを強化した。イエローカードは危険品や高圧ガスを輸送する場合に品名別の注意事項などを記載した黄色の書面で、荷主が用意して輸送時にドライバーが携行することが義務付けられているもの。万一の事故発生に備え、輸送関係者や消防・警察などが事故発生時に取るべき応急措置や、連絡通報内容などが記載されている。
現在の法令では紙面のイエローカードを携行するよう定めているが、三井化学はより一層の安全確保を図る観点から、イエローカードの内容をQRコード化し、車両に貼付する取り組みを実施している。これにより、事故発生時に負傷・意識不明などによりドライバーがイエローカードを提示できない場合や、事故時の火災・流出に伴う焼失や汚損・腐食により記載内容が判読できなくなった場合でも、消防・警察はQRコードを読み取ることでイエローカードに記載された情報をクラウド経由で取得でき、事故発生後の迅速な処置が可能となる。
QRコードは製品容器ラベルにも貼付できるため、今後はさらに応用範囲を広げられる。現在は検討段階だが、製品容器と伝票をQRコードで相互に紐づけることで、輸送時の製品管理を行いやすくなるなどのメリットを想定。複数の荷主の化学品を共同輸送する場合などに有効性が発揮できそうだ。
今後の同社のDX関連の取り組みについて、物流部企画管理グループ・グループリーダーの黒野悟氏は化学品業界でフィジカルインターネット実現会議化学品WGを軸に共同物流の促進が検討されていることに触れ、「これまで以上に共同物流を進めることが重要だが、そのためのカギは標準化とデジタル化だ。当社は発荷主でもあるが調達・購買を行う着荷主でもある。来年4月からは新たな物流総合効率化法が施行され、荷主の〝物流責任〟はますます重くなる。発着双方の観点からDX推進に取り組むことが不可欠だ」と語る。また、依田氏はDX推進を軸としながら、持続可能な物流を維持・構築していくための視点として「荷主企業だけでなく、物流事業者にもメリットがある形で取り組むことが重要だと考えている。DXを活用することで荷主と物流事業者が一層緊密に連携できるようになり、WIN―WINの関係構築を目指していく」と意欲を見せる。
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