カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号
「トラック適正化二法」特集
6月4日に成立、11日に公布されたトラック適正化法(貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律、貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律)――。トラック事業許可の更新制や「適正原価」の導入に加え、物流子会社やフォワーダーに規制的措置が導入されることも注目を集めている。その規制の中身はどのようなものなのか。Q&A形式でわかりやすく読み解いてみた。
利用運送事業者も
「元請事業者」に
Q トラック適正化法で定められた「利用運送事業者に対する規制的措置」とはどんなものなの?
A まず、いままでの流れから説明するね。利用運送事業者は実運送会社に「荷物を出す」立場にあるため、従来は「荷主」と同じようにとらえられていたんだ。トラック適正化法ではそこが大きく変わる。具体的には、真荷主(メーカーや卸、商社など)との取引上最上位にある利用運送事業者を「元請事業者」とカウントする。つまり、利用運送事業者は「準荷主」の位置づけから、「元請事業者」に変わるんだよ。
ちょっと思い出してみよう。物流改正法(物流総合効率化法と貨物自動車運送事業法の改正)のうちトラックへの規制措置では、取引上最上位にある実運送事業者を「元請事業者」とカウントして、下請管理簿などの作成や下請次数制限などの義務を課していたのをおぼえているかな。トラック適正化法では、こうした義務を利用運送事業者にも課すことになる。
Q その義務化はいつ適用されるの?
A 公布から1年以内と言われているから2026年中ということになるね。
Q どんな影響が考えられるの?
A 利用運送事業者の義務が増えるため、その分負担は増えることになるかもしれない。それに再委託のたびに下請手数料が加算されコストが上昇してしまう。「下請次数を制限を二次までに抑える」という努力義務も課されるため、下請次数は減らす方向に向かうのではないかな。あるいは、下請を「垂直」に広げられない代わりに、下請を「水平」に広げる動き、つまり直接委託できる協力会社を増やすような動きが出てくるかもしれない。
「下請を二次までに制限」は
努力義務
Q 具体的に利用運送事業者にはどんな義務が課されるの?
A 基本的には、実運送事業者の「元請事業者」に課せられた義務と同じ。つまり運送委託時の契約の「書面交付義務」、「実運送体制管理簿作成」「健全化措置」の3つということになる。
Q 3つ目の「健全化措置」とはどういうもの?
A 「健全化措置」とは、言うなれば「利用運送を行うときに委託先への発注を適切に行うこと」。具体的には、①費用の概算額を把握した上で、その概算額を勘案して委託すること、②その概算額が荷主が提示する運賃・料金よりも低い場合、荷主と価格交渉を行うこと、③下請けを二次までに制限すること(再々委託の制限)――の3つで、いずれも「努力義務」という位置付けになっている。
Q 「健全化措置」の中には「努力義務」だけでなく、文字通りの「義務」もあるというのは本当?
A その通り。ただし、義務が課されるのは、一定規模以上(前年度の利用運送量が100万トン以上)の利用運送事業者のみ。具体的には、①「運送利用管理規程」を作成し、国土交通大臣に届け出ること、②「運送利用管理者」を選任し、国土交通大臣に届け出ること――が義務の中身だよ。
Q ところで、前年度の利用運送量が100万t以上の利用運送事業者の「100万t」はどうやって判断するの?
A「●●運送株式会社」が毎年国土交通省に提出している貨物自動車運送事業実績報告書の「輸送トン数(利用運送)・全国計」の欄に記入された数値で判断できるということだよ。ただし、指定通知が来るわけではないので、自分自身で確認しなければならない。
Q 「運送利用管理者」は責任が重いし、なりたくない人もいるのでは。「配車マン」に兼任させることができるの?
A それはノーだ。「運送利用管理者」は、「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(役員等)から1人選任」とあるから、会社の中では相当上位のポジションの人がなるイメージだね。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。