カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号
「トラック適正化二法」特集
附帯作業の実態把握と
有償化は不可避
Q 次に、運送委託時の「書面交付義務」については何か注意点はある?
A まずひとつめに、書面交付は「荷主」にも義務付けられていること。荷主から口頭で「よろしく」は今後はアウトということになる。利用運送事業者は「元請事業者」として荷主から書面交付を受けないといけない立場にある。もうひとつ注意すべきことは、「附帯作業」の内訳と対価を記載しなければならないこと。附帯作業の実態把握と有償化は不可避になる。
Q 交付書面にはどんなことを記載するの?
A 個々の運送ごとに、①運送役務の内容・対価②運送契約に荷役作業・附帯作業が含まれる場合にはその対価③高速道路利用料、燃料サーチャージ等④契約の当事者の氏名・名称および住所⑤運賃・料金の支払方法⑥書面を交付した年月日――を記載するよ。
Q 書面交付は紙でなければいけないの?
A メールやPDF、ファクス、Webでのアップロード方式いずれもOK。ただし、その方式で交付することを、受け取る先が合意している必要がある。書面の様式もとくに決まりはないけれど、交付した書面は、その写しを1年間保存しなければならない。
Q 「基本契約書」を交付していれば、日々の運送依頼について書面交付はいらないの?
A 基本契約書で「網羅」されていれば、日々の運送依頼について書面交付は不要だ。ただ、たとえば、附帯業務の有無がケースバイケースで、個々の運送依頼時にその有無が確定するような場合は、それぞれの運送依頼ごとで書面交付が必要になる。
利用運送事業者も
実運送体制管理簿作成が必要
Q 最後に「実運送体制管理簿作成」の義務についてだけど、従来は、実運送事業者が「元請事業者」としてカウントされ、利用運送事業者には作成義務を免れていた。今回、トラック適正化法で、利用運送事業者が「元請事業者」とカウントされたため、作成が必要になったんだね。
A そういうことになる。今までは利用運送事業者は、その下にいる実運送事業者の「元請事業者」に「実運送管理簿作成」を作成させればよかったのが、自分たちも作成しなければならなくなった。
Q 管理簿には何を記載するの?
A 管理簿に記載する事項は、①実運送の商号又は名称②実運送事業者が実運送を行う貨物の内容及び区間③実運送事業者の請負階層(一次請け、二次請け等)――だよ。既存の配車表を活用して作成してもOK。電子媒体でもOKだけど、実運送体制管理簿は、運送を完了した日から1年間保存する必要がある。
Q すべての運送について管理簿を作成しないといけないの?
A 「実運送体制管理簿」を作成しないといけないのは、「1荷主の1運送依頼あたりの重量が1・5t以上」と定められている。つまり、「実運送する際の重量」ではなく、「真荷主から運送を引き受ける際の貨物の重量」で判断するの。ちなみに路線便の扱いについては、1・5t以下なら作成の義務はないけれど、2t以上なら作成しないといけないし、発着地「連絡輸送」の委託状況も記載しないといけない。おそらく「中継輸送」に関しても管理簿の記載対象になるんじゃないかな。また、下請が固定されている場合、年に1回の作成でOKだよ。
Q 「実運送体制管理簿」を作成するだけでいいの?
A 注意点が2つある。まずひとつめに、真荷主は元請事業者に対し、「実運送体制管理簿」の閲覧請求ができるということ。荷主から閲覧依頼があったら、いつでも開示できるようにしないといけない。
規制的措置への対応で
力量の差が出る?
Q 元請事業者に下請管理の義務のしわ寄せがきていないかな。下請に仕事を発注しているのに…
A 実は、下請の実運送会社にもしっかり「義務」が課されている。「実運送体制管理簿」の作成に必要な情報を元請事業者に通知しなければならない。ちなみに通知する情報は、①実運送事業者の名前、②運送区間、③貨物の内容、④請負次数――。「あなたは二次です。さらに委託するならきちんと教えてね」という相互の通知を業界内で徹底していこうということだ。ちなみに、この通知義務の違反に罰則があるのかどうかはまだわかっていない。
Q 利用運送事業者の負担が重くなった印象だけれど、そもそもこうした「管理能力」「調整力」こそが、利用運送事業者の存在意義だったね。
A その通りだね。トラック適正化法への規制的措置にうまく対応できるかできないかで、利用運送事業者の力量の差が出てくると思う。「実運送体制管理簿」の作成をはじめITツールを駆使した効率化も必要になるね。
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