カーゴニュース 2025年11月13日 第5387号
日本倉庫協会(藤倉正夫会長)はこのほど、「価格転嫁(値上げ)の状況に関する実態調査」の結果を公表した。それによると、コスト増を感じた企業が90%にのぼり、今後も8割以上の企業が荷主への価格転嫁を求めると回答した。
調査は、9月8日~26日にかけて会員事業者を対象に実施し、回答件数は487件だった。回答事業者の規模は「資本金3億円以下」、「従業員数300人以下」がそれぞれ18%を占めていた。
コスト(エネルギー価格、人件費など)の増加を感じたかどうかの問いでは、「感じている」(50%)、「強く感じている」(41%)を合わせて90%を超えた。コスト増を感じた項目は、「燃料費」、「人件費」、「資材費」と続いた。
荷主への価格転嫁について荷主企業総数(100%)に対して、価格転嫁(値上げ)を求めた荷主の割合を聞いたところ、100%求めた事業者もいれば、「求めていない」との回答もあり、総じて対応は様々だった。
一部もしくは全く価格転嫁(値上げ)を求めなかった理由としては、「競合他社が価格転嫁しないため、価格競争力を維持する必要がある」「荷主が価格転嫁に応じられる状況にない」との回答が多かった。
価格転嫁(値上げ)を求めた荷主企業総数(100%)に対して、交渉テーブルにつけた荷主の割合では、荷主の全てに対して交渉テーブルにつけた(100%)割合は41%にとどまっており、いまだテーブルにもつけない状況が存在している。
一部もしくは全く交渉テーブルにつけなかった理由としては、「荷主に理解いただけるだけの資料やデータが提供できなかった」「想定以上のコストの高騰に対し、価格交渉の余地をもらえなかった」といった回答が多い。
値上げ率は6~10%が多数を占めた。 目標額についても希望額の2割以下が回答多数となっている。目標額を下回った理由に「顧客離れのリスクや同業者間の競争への警戒」「荷主の理解不足」などが挙げられた。
日倉協では、「価格転嫁を進める動きは拡大しているが、『競合他社が価格転嫁をしないため価格を維持する必要がある』との回答も多いため、倉庫業界全体で価格転嫁を行いやすいさらなる環境整備が求められる」と分析。行政機関等と連携して価格転嫁が進む環境改善に向けた対応策を検討していく。
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