NLJは荷降ろしの自動化を実現

カーゴニュース 2024年6月27日 第5254号

レポート
トラックの「積み降ろし自動化」を見る

荷役作業の負荷軽減へ検証・実用化が進捗

2024/06/27 16:11

 喫緊の課題となっている物流現場の労働力不足に対し、荷役作業の負担軽減につながる「自動荷役」の取り組みが進捗している。トラックへの荷物の積み込みや、荷降ろしは自動化のハードルが高いとされてきたが、「2024年問題」への対応として、ドライバーの荷待ち時間や荷役時間短縮への要請が強まる中、AGF(自動運転フォークリフト)とAMR(自律走行搬送ロボット)の連携による積み降ろしやAIロボットによるバラ貨物の荷積みなど、各社が最新技術を投入し、「積み降ろし自動化」への挑戦を続けている。

 

NLJは荷降ろし、鴻池運輸は荷積みを自動化

 

 日野自動車を親会社とするNEXT Logistics Japan(NLJ)は2023年7月から、大型トラックからの荷降ろし作業で、豊田自動織機製のAGFとアイシン製のAMRの連携による自動化を、NLJのクロスドック拠点である相模原センター(相模原市南区)で開始した。

 

 同センターは複数の発荷主から出荷・輸送されてきた荷物を集積し、大型トラックに積み替える拠点として運用している。この取り組みは、AGFとAMRの連携により、一部の支線便における大型トラックからの荷降ろし作業を自動化し、実運用を開始したもの。AGFが大型トラックの荷台から降ろした荷物をAMRが受け取り、所定の場所へ搬送・保管する流れで、ウイング車の荷室の両側から同時に荷役作業を行うことで、効率的な荷降ろしを実現している。

 

 現在は荷積み作業の自動化や異種混載パレットの自動荷役も検証するとともに、日野自動車が開発した物流最適化ソリューション「NeLOSS(ネロス)」との連携も進めている。「NeLOSS」は、量子コンピューティング技術により荷物の最適な割り付け・積み付けの組み合わせを高速で自動計算するシステムであり、自動荷役との連携によってさらなる荷役効率化の実現を目指す。

物流最適化ソリューション「NeLOSS」

 鴻池運輸三菱ロジスネクストは共同で、今年3月から鴻池運輸神奈川綾瀬営業所(神奈川県綾瀬市)において、AGFを活用したトラックへの荷積み自動化の実運用を開始した。

 

 両社は22年3月、同営業所で自動荷役の実証実験を開始。実験では、トラックの荷役位置検知試験やトラックへの誘導機能試験、自動化実運用に向けた能力・安全機能を検証した。その結果、変化する積載位置に応じてAGFが自らの判断で最適に稼働し、有人フォークリフト作業に匹敵する精度と時間でトラックへの荷積みを行えるようになった。トラックへの積み込み時間は、大型トラック(16パレット)1台に対して15分以内で満載が可能となっている。

 

 今後、鴻池運輸では、同営業所でのAGFの追加導入によるトラックへの荷積み自動化の拡大に加え、他の倉庫にも荷積み自動化の取り組みを水平展開していく考え。

鴻池運輸は神奈川の拠点で自動荷積みを開始

AI搭載機器の実証進む荷積みロボの開発も開始

 

 ロジスティード、大和ハウス工業、イオングローバルSCM、花王、豊田自動織機の5社は21年9月から24年3月にかけて、AIを搭載したAGFとトラック運行の連携による物流効率化・省エネ化を目的とした共同事業を実施した。5社のサプライチェーンが関与する物流センターでの入出荷工程で、積み降ろしの自動化による荷主間の計画的かつ効率的なトラック運行を検証した。

 

 共同事業では、「AGFを用いた物流施設の入出荷の自動化」「サプライチェーン全体の効率化を実現するための事業者間のデータ連携」「発着荷主間でのトラックの待ち時間短縮による効率化、エネルギー削減」を検証。複数年度にかけて段階的な実証を進め、AGFによるトラック積み降ろし技術の確立や実用化に向けた改良、事業者間共通システムによる積み降ろしとトラック運行計画の連携、スワップボディ車両やパレタイズロボットなど各種効率化機器の段階的導入と連係化を検証した。その結果、発着地点でのドライバーの待機時間や輸配送業務におけるドライバーの業務時間、輸配送時のエネルギー消費量の削減により、サプライチェーンの生産性向上と省エネ化を確認した。

ロジスティードなど5社はAI搭載AGFを活用

 このほか、AGF以外の機器を利用した自動荷役の実証も進んでいる。SGホールディングス、佐川急便、住友商事、米国のユニコーン企業でAIロボティクスソフトウェアの開発を行うDexterity,Inc.の4社は昨年12月、「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足し、同月から実証実験を開始した。個々の荷物をトラック庫内の最適な場所へ積み込むAI搭載荷積みロボットを開発する国内初の取り組みとなり、実験期間は1年間を予定。開発・実証には約6億円を投じる。

 

 この共同プロジェクトでは、Dexterityのロボット技術に高度なAI技術を搭載し、佐川急便の現場におけるオペレーションを学習させることで、同社が求める輸送品質の実現を目指す。まずはDexterityの米国の施設で、既存の荷積みロボットをベースに、佐川急便が求める輸送品質や処理速度などに合致するAIを搭載した荷積みロボットの開発・テストを行う。その後、開発したロボットを佐川急便の大型物流施設である「Xフロンティア」(東京都江東区)内の中継センターに設置し、実際のオペレーションを検証する。

 

 実証によって、佐川急便が求める十分な機能を果たすことが確認でき次第、早期の実用化に着手する。今後は新設される大規模中継センターなどへの導入を検討する。

SGHDなど4社はロボットによる荷積みを実証
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