カーゴニュース 2024年5月16日 第5242号
NX総合研究所(本社・東京都港区、田中博之社長)はこのほど、2024年3月に実施した調査に基づく「企業物流短期動向調査(NX総研短観)」を発表した。調査は国内の荷主(製造・卸)の主要2500事業者を対象に行い、3月初旬で684社から回答があった。出荷量の動向を示す「荷動き指数」〈グラフ〉をみると、24年1~3月の荷動き実績はマイナス17となり、10~12月実績のマイナス10と比べ7 pt低下した。年初に発生した能登半島地震の影響に加え、景気水準の回復がみられなかったことから下降気味となった。1~3月の荷動き予測はマイナス10で前期(10~12月)のマイナス6より4 pt低下となっていたが、実際はさらに落ち込み幅が大きなものとなった。
一方、4~6月見通しをみるとマイナス7となり、1~3月実績から10pt上昇の予想が示された。その背景には、緩やかに生産が上向くことへの期待や、小幅ながらインバウンド需要が増加していることを理由に、消費・生産貨物の荷動きが上向くと予想しているようだ。
食料品・飲料はプラス転換、生産関連の荷動き回復に期待
業種別の出荷量の実績と見通しは〈表〉の通り。24年1~3月実績と24年4~6月見通しを比較すると、消費関連では、食料品・飲料がマイナス6からプラス11と17pt上昇の改善を見込んだ。一方、原料・素材関連は、木材・家具がマイナス23からマイナス12、化学・プラスチックがマイナス30からマイナス16と改善の兆し。窯業・土石がマイナス16からプラス16と32pt上昇の急激な転換を予測。鉄鋼・非鉄はマイナス25からマイナス19と6 pt上昇を予想した。生産関連では、金属製品がマイナス10で横ばいとの予測を除いて、一般機械がマイナス17からプラス2、電気機械がマイナス21からマイナス11、輸送用機械がマイナス16からマイナス3、精密機械がゼロ水準からプラス5とそれぞれ上向くと見込んだ。ただ、生産財卸はプラス8からマイナス8と大幅に下降する見通しもあり、積極的な見通しのメーカーとは逆の見方をしているようだ。
メーカー側で落ち込みが予想された業種はパルプ・紙がマイナス35からマイナス41、繊維・衣服がマイナス17からマイナス18と見込んでいる。パルプ・紙の荷動きの落ち込みは、当面は需要低迷が続くとの見立てによるようだ。繊維・衣服はマイナス17からマイナス18と伸び悩んでいるが、物価高の影響を受け消費者の購買意欲に余力が乏しいことが要因だと想定される。
4~6月のコスト割合は大幅上昇のおそれも
売上高に対する物流コスト割合は、大幅に上昇するとの見通しが示された。23年10~12月の「34」から24年1~3月は「30」と4 pt低下していたが、続く4~6月は16pt上昇の「46」と予想された。多くの荷主が物流の「2024年問題」を踏まえ、今後の輸送需給がひっ迫し、運賃水準が上昇することを想定しているようだ。
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