標準約款は寄託契約の準拠基準

カーゴニュース 2026年4月2日 第5424号

FOCUS
倉庫と荷主の取引適正化へ改正約款が施行

附帯業務や緊急入出庫は料金の請求対象に

2026/04/01 17:00
全文公開記事 FOCUS 行政 倉庫・物流施設

 「標準倉庫寄託約款」「標準冷蔵倉庫寄託約款」が4月1日から施行された。倉庫業者が荷主からの要請により行っている附帯業務や、トラック事業者の荷役・荷待ち時間の増大を招く一因となっていた、緊急の入出庫対応について荷主に料金を正当に請求できるようになる。トラックドライバーの労働環境改善にフォーカスされた法制度改正が進むなかで、ドライバーが行っていた作業が倉庫側にシフトするといった“しわ寄せ”も指摘されていたが、約款の改正により、倉庫と荷主の取引適正化が進むことが期待されている。

 

受寄物の内容確認は行わず、賠償額には上限

 

 標準倉庫寄託約款、標準冷蔵倉庫寄託約款はそれぞれ1959年、1960年に制定され、これまでほとんど改正されてこなかった。業務実態や時代の変化に対応していないものが多くなり、それに伴うトラブルも発生していることから、国土交通省は全般的に見直し、①近年の業務実態等に即した改正②民法改正に対応した改正③物流改正法に対応した改正④規定の拡充・明確化――を行った。

 

 荷主との取引で注意すべき点は、「附帯業務等」の規定の新設だ。17年の標準貨物自動車運送約款の改正では「運賃」と運送以外の役務に支払われる対価である「料金」を明確にした。これを踏まえ、倉庫業務においても通常の保管・入出庫業務以外の業務を「附帯業務」として区分し、具体的に「附帯業務」を例示するとともに、これらの料金を請求できることを明確化した。また、十分な時間的余裕のない入出庫指示やキャンセルも費用の請求対象とした。

 

 荷主によっては、倉庫会社は個々の寄託物の全数を検査し、その内容を把握していると誤解しているケースがある。倉庫会社は善管注意義務として寄託物の内容を確認するのが当然であるかのような主張をされることもある。そこで、不要なトラブルを避けるため、倉庫会社は入庫にあたって、積み付けの外観のみを検査し、内容については検査を行わないことを明記した。

 

 賠償額の算定では、滅失または損傷が生じた寄託物について、約款上は受寄物の時価が賠償額の上限になるとしている。一方、近年、誤出荷や作業遅延による損害などに対し、法外な賠償金額を請求され、その場合の請求額が倉庫会社が収受し得る料金を大きく上回ることが問題となっていたが、改正約款では、当該寄託物に対する既発生料金(サービスの対価)の総額を上限とする旨が規定された。

 

 日本倉庫協会では、標準倉庫寄託約款を「公的な規律として、寄託契約の準拠基準になっている」と位置づけたうえで、「法に準じた適正な取引を推進する観点から、新しい標準倉庫寄託約款を倉庫寄託約款として定めることを会員事業者に推奨しており、既存の寄託契約においても4月1日以降は新約款に準じるべく、その変更に向けた働きかけを行っていく」としている。

不公正な取引、公取委や倉庫担当Gメンに相談を

 

 旧標準倉庫寄託約款を引き続き会社の倉庫寄託約款として使用することは可能だが、4月1日以降、旧標準約款は標準約款として扱われないため、引き続き使用する場合は「倉庫寄託約款設定届出書」の提出が必要となる。新標準倉庫寄託約款は、会社の約款を変更した後に締結される寄託契約から適用され、それ以前に締結していた寄託契約については、引き続き既存の約款が適用される。

 

 既存の契約に新約款を適用するためには、当該契約の相手となる寄託者(荷主)の同意を得る必要がある。その場合、新約款を荷主が拒否し、荷主に有利な個別契約を結ばされる可能性もある。これに関して国交省では、「標準倉庫寄託約款の既存契約への適用については、各寄託者と協議の上で決定するものだが、国交省としては、各運輸局等や業界団体と協力しながら新標準約款の周知を進め、寄託者にもご理解いただけるよう努めていく」としている。

 

 なお、標準倉庫寄託約款は法的拘束力を持つものではなく、倉庫寄託約款の標準的なモデルを示すものであることから、寄託者が附帯業務料金を支払わないことに対する罰則は設けていない。一方で、倉庫業者に無償で附帯業務を行わせる行為は公正取引委員会が独占禁止法により指定する「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」に該当する可能性がある。その場合、倉庫業者は公取委に相談できるほか、国交省の倉庫担当Gメンの各種窓口でも相談・情報提供を受け付けるという。

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