Pパレは業界のデファクトスタンダード

カーゴニュース 2026年6月30日 第5447号

ズームアップ
Pパレ共同使用会
多様な手法で流出・不正使用防止を強化

2026/06/29 16:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 パレット DX・システム・新技術

 Pパレ共同使用会(小野里俊哉代表理事)は、加盟する酒類・飲料メーカー約140社とともに「ビール9型プラスチックパレット(Pパレ)」による一貫パレチゼーションに取り組んでいる。「Pパレ」(9型=底面積900×1100㎜)は、共同使用による円滑な運用を実施するため、寸法・外観や耐荷重などが同等となるよう共通の規格・仕様を規定され、加盟各社は基準に基づいたパレットを購入し、運用。この規格化されたパレットの共同使用と無選別回収を行うことで、飲料品物流の効率化に加えて、納入業者の労働負荷低減にも寄与している。

 

 一方、長年の課題となっているのが、流通ルート外への流出と不正使用への対策。Pパレの回収率は99%を超えているものの、未回収分の1%は30〜40万枚に当たり、その金額は大きい。Pパレ共同使用会と加盟各社は、各社の財産でもあるパレットの回収率向上に向けて新たな取り組みを開始している。

 

出荷枚数約4300万枚の大規模プラットフォーム

 

 Pパレ共同使用会には、今年5月末時点で142社が加盟し、年間では約4300万枚、1日当たり平均約10万枚のPパレを出荷している。酒類業界の総売上高の8~9割、飲料業界の総売上高の5割程度を構成する各メーカーがPパレを使用していると想定され、業界の〝デファクトスタンダード〟だと言える。

 

 同会は、1992年にビール大手4社でPパレの共同使用を開始。95年以降は4社以外のメーカーへも共同使用が拡大し、2004年にPパレ共同使用会を加盟社10社で設立した。その後13年には一般社団法人化し、加盟社が60社まで拡大した。

 

 加盟社が多くなるに伴いパレット管理がより煩雑となってきたことから、14年6月にPパレ共通受払いシステムを導入し、大量のパレットの入出庫履歴を可視化した。また、共同利用が進む過程で、加盟各社の保有枚数に不均衡が発生してきた。そこでビール大手4社合同の「パレットワーキンググループ」が中心となり、19年から共同回収を開始し、パレット偏在の解消と車両運用の効率化を進めている。

 

 Pパレ共同使用会の飯泉泰一郎常務理事は「Pパレの運用では回収率の引き上げとともに、回転率を高めることも重要。現状の回転率を引き上げることで新規購入を大幅に削減できる」と説明する。回収率と回転率の向上には、各加盟社の得意先で滞留しているパレットの回収スピードを上げることが重要となる。具体的には昨年から、ビール4社のメンバーと事務局が合同で回収率の低い得意先に働きかけ、積極的に回収率を引き上げる取り組みを始めた。また、出荷減に伴い利用頻度が低下してきた加盟社が、利用頻度が高まってきた別の加盟社に不動在庫となったPパレを譲渡する取り組みを昨年から開始するなど、より効率的にPパレを運用する体制づくりを推進している。

回収率と未回収枚数の推移

悪質な不正利用には「求償ルール」適用も

 

 これに対し、深刻な課題となっているのは、本来の流通ルート外への流出や不正使用だ。飯泉氏は「Pパレは加盟社の財産であるにもかかわらず、実態として多くの不正使用が行われている。昨年度の回収率は99・26%で一見高い回収率に見えるが、未回収の約0・7%は30・8万枚に相当し、Pパレ1枚の価格を8000円とすると、未回収分の総数は24億円という大きな金額となる」と危機感を示し、「昨年は約60万枚のパレットを購入したが、未回収が生じていなければ購入費用は約半分で済む」と説明する。

 

 こうした状況に対し、同会は長年にわたり、不正使用・流出防止に向けた様々な対策を行ってきた。まず、パレット本体に「所有者・管理者名」「譲渡・無断使用は一切禁止」「不正使用は違法です」などの表示を行い、加盟社の所有物であることを明確化した。また、流出が疑われる低回収率拠点への調査活動や、ネットオークションで中古Pパレを販売する違法業者に関するサイト運営者への出品削除要請、不正使用防止を周知・啓発する広告などのメディア展開を実施。加えて、近年は農林水産省と協働し、公設地方卸売市場協議会に出席し、行政担当者とともに不正使用防止を啓発する取り組みも実施している。その結果、複数の市場が理解を示し、回収が実現した事例もある。

 

 そうしたなか、24年に4000枚や8000枚という大規模な不正使用事例が見つかった。飯泉氏は「こういった悪質な事例が生じることに対し、当会としても、より強い対策を講じざるを得ない」と話し、Pパレ共同使用会では「求償ルール」の策定を進め、昨年11月から、悪質な不正利用事業者に対して適用していく方針を固めた。ルールでは、不正使用枚数や過失・故意、初回・再発、返却への協力度などをスコアリングし、不正使用者の「レベル」に応じた求償提示額を規定した。「求償ルール」策定以降の約半年間で5事業者(合計数千枚の不正利用)に対して求償ルールを適用した。飯泉氏は「求償ルールを公表した後、当会あてに不正使用に関する問い合わせがあった。意識せずに不正使用を行っていた方面に対して、けん制効果につながることを期待している」と語る。

パレットに不正使用禁止を表示
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