カーゴニュース 2026年8月18日 第5459号

インタビュー
事業整備や海外展開で中計目標達成へ
キユーソー流通システム
代表取締役社長
富田仁一 氏

仕事を確実にやりきる「現場力」が強み

2026/08/17 16:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 コールドチェーン インタビュー

国内ではサービス再整理とセグメント再編に注力

 

 ――昨年発表された中期経営計画(25年~28年)では、目標数値として売上高2100億円、営業利益73億5000万円を掲げています。進捗についてはいかがでしょうか。

 

 富田 25年11月期の売上高は2026億円に届き、トップラインに関しては料金の適正化が貢献して今後も伸びてくることを見通しています。

 

 一方、課題となるのは利益面です。コストアップに対し、しっかりと知恵を出して対応していかなければなりません。とはいえ、現在の業績面を見ると決して悪い数字ではなく、今後は海外事業においてインドのColdrush社を傘下に取り込んだことによる収入拡大に加え、料金への転嫁を着実に進めていく方針です。

 ――中計では国内事業の整備として物流サービスの再整理とセグメント再編を基本方針としていますが、どのような形で進めているのでしょうか。

 

 富田 サービス再整理の一環として、当社および子会社のキユーソーティスにおける北海道での物流事業を分割し、6月に新設したキユーソー北海道に承継させる予定です。道内で当社や複数のグループ会社が事業をしていても、荷主や届け先が共通していることもあるため、一社に事業を集約することで最適化につなげます。当社が抱える物流ネットワークを大きく変えることなく、保有するアセットを一体的に運用することで業務を効率化できると期待しています。加えて、北海道は地元にとどまりたいという従業員が多いため、ひとつの会社でしっかり根を張って仕事してもらうことで、人材の定着を図る狙いもあります。

 

 事業再編は各事業の業績への影響度を指針としており、判断が難しい領域です。燃料の販売や施設・車両の保守やメンテナンスを行う「関連事業」には海外事業も組み込まれているのですが、海外でのビジネスが拡大していくにつれ、そろそろ関連事業から独立させたほうがいいのではないかという意見も出ています。

 

 当社の視点というよりも、外部から見てわかりやすい事業区分にする必要があり、その基準に事業ごとの業績への影響度は大きく関わってくることなので、一番可能性が高い再編は、やはり海外事業の独立なのではないかと考えています。

 

M&Aでインド進出、今後は積極的な倉庫新設へ

海外物流事業の拡大が進む

 ――海外での事業戦略についてお聞きします。インドのColdrush社の買収に伴い、同国への進出を果たしましたが、この買収が事業にもたらす影響はどれほどの規模になるのでしょうか。

 

 富田 今期の業績に与える影響はまだ軽微ですが、今後の投資計画として、現地に低温倉庫を次々と新設していく方針です。当社の知見やノウハウをかけ合わせることで、インドの中でもワンランク上の品質を担保できる倉庫を造り、荷主から選んでもらえるような付加価値を創出していくことで、業績への寄与につなげていきます。

 

 インドには高い期待を寄せています。人口の多さに加え、食材の冷凍保存などの文化が成長途中であることから今後の市場拡大が期待できます。人口のうち数%でも冷凍保存を利用するようになれば、それだけでも結構なボリュームとなります。そのときには確実に低温倉庫が足りなくなり、大きな需要が発生するはずです。今のうちに低温物流網を構築していくことで、この先のインドにおいて、「この国の高品質な冷凍物流の礎はキユーソー流通システムが築いたんだぞ」と言われるようになれればと思います。

インドのColdrush社を子会社化

 ――アジアは今回のインドだけでなく、かねてよりインドネシアでの事業にも力を入れていますが、同国の事業の状況はいかがでしょうか。また、今後タイやマレーシアといった国への進出はお考えですか。

 

 富田 20年にインドネシアのKIAT ANANDAグループの4社を子会社化して同国に進出してから6年が経ち、事業はだいぶ安定してきたところです。新たな拠点の整備に積極的な投資を進めており、新設については一段落ついたため、今年の冬から年明けにかけてすべての拠点の稼働を予定しています。インドネシアにはコールドチェーンの事業者が少なく、今後、飲食関係のグローバル企業が同国のどの地方に出店しても、当社による高品質な低温物流を提供できる体制が整っています。

 

 他方で、ASEANの他の国についてもリサーチを重ねており、現地のいくつかの企業とも何度か話し合いをしているのですが、まだ具体的な案件はありません。インドネシアでの事業を通じて、ASEANならではの様々な課題が見えてきたこともなども要因となっています。また、日本の食品物流会社がそれなりにASEANに進出しており、当社としては他社に先駆けて事業の開拓を進めたいという背景もあります。

 

外国人材活用でドライバー不足に対応

 

 ――昨今の物流人材不足によって、貴社の事業に影響は出ていますか。また、どのような対応を進めていますか。

 

 富田 先般、協力会社の方々から近況を聞く機会があったのですが、ドライバーの入れ替わり自体はあっても、ドライバーの数そのものはそれほど不足していないという会社がほとんどでした。

 

 しかし、人口減少に加え、都市部を中心に若者の車の保有率や免許の取得率も下がりつつあることから、トラックドライバーがますます少なくなることは確かです。そのため今後は外国人ドライバーの雇用についても積極的に検討する必要があります。当社では秋頃に、インドネシアから数人のドライバー候補を国内へ呼び寄せる予定となっています。

 

 また、庫内作業では、グループ会社のキユーソーエルプランが、毎年インドネシアの大学で物流を学んでいる学生をインターンシップとして招いており、もちろん給料はきちんと支払ったうえで、今年は60人近くの学生に来てもらう予定となっています。インターンに来た学生の中から複数名が、インドネシアにある当社の子会社に就職したケースもあります。

 

 ――政府が実現を目指す食料品の消費税減税により、外食産業の需要減が予測されています。貴社の事業にどのようなインパクトを与えているのでしょうか。

 

 富田 仮に実際、外食産業の需要が減ったとしても、当社の事業にそれほど大きな影響は与えないものととらえています。減税に伴い、家庭向けの物量が増えるようであれば、外食向けで発生したマイナスを補うことができるでしょう。

 

 一方、懸念点は食料品の減税が2年間の限定措置であることです。需要の変化に対応するため新たなシステムを導入しても、税率が2年後には元に戻るとなると、コストの回収が難しくなります。そのため、当社の現在のバッファの中で、影響を抑え込むことが重要です。

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