カーゴニュース 2026年9月3日 第5464号
9月8日~11日の日程で開催される「国際物流総合展2026」。法改正への対応に向けて、荷主や物流事業者にさらなる物流変革が求められるなかで、最新の物流機器やソリューションが集まる同展は回を追うごとに規模を拡大し、17回目となる今回は過去最大規模での開催となる。事務局次長を務める日本ロジスティクスシステム協会(JILS)理事・JILS総合研究所所長の北條英氏に見どころを聞いた。
(インタビュアー/松浦優樹・小嶺俊輔)
過去最大規模での開催、複数企業による連携も
――8日にはいよいよ「国際物流総合展2026」が開幕します。今回の見どころや出展傾向について教えてください。
北條 今回の「国際物流総合展」は過去最大規模での開催となります。前回は東京ビッグサイトの東1~8ホールを使用しましたが、今回は東・西の両展示棟を使用します。東西に分かれる形となりますが、両会場を一体的に活用した展示を計画しています。
出展者数は約500社3300ブースを予定しています。展示されるソリューションや機器が多様化するなかで、複数社での共同出展や、ブースの規模拡大といった動きがあるものと考えられます。その背景には、個社の製品単体の性能をそのままアピールするだけではなく、サプライチェーンの流れの中でどの部分をどのように効率化するのか、他のソリューションとどのように連携するのか、いわゆる「物語性」で来場者の心に訴えていく傾向が出展者の間で広がっているものと見られます。
出展企業の傾向では、物流不動産のブースが大型化しているほか、中国のマテハンメーカーによる出展も顕著です。物流という分野にマーケットとしての注目度が高まっていることもあり、他分野で活躍するスタートアップ企業が物流分野への技術活用やソリューション展開に可能性を見出して出展を計画する――という例も増加しています。
ここ数年の間に、社会全体で物流に注目が集まるようになりました。従来のように「物流はコスト」というとらえ方ではなく、物流面を強化することが企業の競争力につながるという観点から、企業が物流領域を投資対象として認識するような傾向にあります。そうした流れにより、出展企業の間にも単に製品をPRするだけでなく、サプライチェーンの全体最適化がいかに経営にメリットをもたらすのかをアピールする傾向が拡大していくのではないかと考えています。
――近年は物流分野でもAI関連のソリューションが広がりを見せています。
北條 事務局としても、AIを活用したソリューションに関しては、まだまだ発展途上の分野ということもあり、これからの増加に期待を寄せています。物流現場においては、とくに需要予測が最もAI活用の効果を得やすい分野なのではないかと考えています。物流コストが増加するなか、AIを用いて需要予測の正確性を高めることで、在庫の適正化やリードタイムの調整などが実現できるため、輸送コストの削減といったメリットを享受できます。
一方で、正確な需要予測には膨大なデータが必要です。立場の異なるメーカーや卸、小売が在庫情報などをどれだけ共有できるかが競争力の高いサプライチェーンを構築するカギとなります。また、データを共有するためにはデータの標準化も求められます。今回の展示会においても、こうしたデータ管理やそれらを活用した需要予測システムなどが数多く展示されることを期待しています。
「偶然の出会い」から物流課題解決を
――今回の「国際物流総合展2026」のテーマは「知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。」です。このテーマにはどのような想いが込められているのでしょうか。
北條 物流課題の解決にあたっては、AIやロボティクス、DXなどの「技術」にスポットが当たることが多い一方、物流を取り巻く環境が複雑化するなかで技術だけでは解決できない課題もあります。そのため、企業間連携や現場改善などにおいては、まだまだ人の知恵や力を活用することが求められています。技術と人の力を掛け合わせることでロジスティクスの変革は実現する――こうした意義を発信するため、今回のテーマを設定しました。
――来場者に対し、ソリューションの魅力が伝わりやすいよう、展示やレイアウトで工夫した部分はありますか。
北條 展示のレイアウトにおいても、一般的な展示会のように展示内容をエリアごとに細かくゾーニングしていません。マテハン機器やソリューションなどを複合的に展示することで、目当てのブースを見に行く際に「偶然の出会い」が生まれるようにしています。
来場者の方々は、法改正への対応や積載効率、荷待ち時間などそれぞれ個別の課題を抱えています。あえてエリア分けを行わないことで、なるべく多くのソリューションに触れられるようにして、個々の課題に対してさまざまな角度から解決方法を見つけられるような環境を構築しています。他方で、通り一遍のエリア分けを行わない分、来場者の方々が事前に出展製品を把握できるように、Webガイドを整備しました。出展者に登録してもらった出展情報やソリューションを検索できるため、来場者は抱えている課題感や目的にあわせて事前に見学の計画を立てることができます。
――マテハンやソリューションが多様化する一方で、物流費を含めた社会全体の物価が高騰しています。とくに中小の事業者では、導入コストが負担となることでソリューションの導入が進まず、物流改善が遅れることが懸念されています。
北條 物流展には毎回、中小の事業者の方も多く来場していますが、企業規模の小さな事業者にとっては、大掛かりなマテハン機器の導入はコスト面で高いハードルがあります。一方で、物流展ではシステム系やサブスクリプション系といった、価格が比較的安価かつ導入が容易でありながら、現場改善に効果的なソリューションも展示しています。豊富なラインアップの展示により、幅広い層の来場者に展示会の価値を感じていただけるのではないかと考えています。
他方、マテハンメーカーも原材料の高騰や納期の長期化で苦労されている部分があり、販売価格の値上げなどで対応している企業も見受けられます。しかし、値段が上がったという理由だけでマテハン機器の導入を控える――という判断をする荷主は少ないように思います。
「2024年問題」に端を発する輸送力不足や、気候変動への対応、不安定な国際情勢など様々な制約のなかで持続的な事業を行うためどのようにビジネスを最適化するかが重要な経営課題となっています。物流にコストをかけることが自分の会社の価値を守ることにもつながるという認識が広がると、必然的にマテハン機器などへの投資も活発化するはずです。将来的な事業継続のためには自動化や標準化が必要となり、マテハン機器の需要も高まっていくのではないでしょうか。
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