全ト協の寺岡会長

カーゴニュース 2026年10月22日 第5477号

全ト協
全国トラック運送事業者大会を福山で開催

1100人が参加、諸課題対応へ結束

2026/10/21 17:00
全文公開記事 トラック輸送 セミナー・イベント 団体

 全日本トラック協会(寺岡洋一会長)は15日、広島県福山市で第31回全国トラック運送事業者大会を開催し、全国から約1100人が参加した。適正原価制度および許可更新制度への適切な対応や、荷主への価格転嫁、適正な運賃・料金の収受の実現など諸課題への対応に向け、業界の結束を誓い合った。寺岡会長は、トラック適正化二法の施行に関し、「我々業界が立ち直る、また業界の景色を変える最初で最後のチャンスだ」とあらためて強調した。

全国から約1100人が参加

会員の切なる声が届き“二兎”を勝ち取った

 

 主催者を代表し寺岡会長は、熊本地震をはじめ全国で多発する豪雨や台風といった自然災害に触れ、「いつどこで何が起きても不思議ではない。全ト協として今一度、災害対策を見直し、被災地に対してどういった支援ができるのか設計していく必要があると考えている。各地区のトラック協会は地方自治体と災害時の輸送協定を結んでいるが、今後も全ト協と各地区協会が連携を取りながら、対応を強化していく」と表明した。

 

 トラック業界を取り巻く動向として、「4月には業界にとって長年の夢であった軽油引取税にかかる暫定税率が廃止された。暫定税率を論拠とした協会の活動資金である交付金(運輸事業振興助成交付金)についても時限立法により5年間、従来と同じ条件で担保していただいた。これは坂本克己全ト協最高顧問の圧倒的な政治力をはじめ、国土交通省、国会議員の先生方のご支援、そして何よりも会員事業者の切なる声がしっかり届いて“二兎”を勝ち取ることができた」と総括した。

 

 適正原価制度に関する有識者検討会における荷主団体からの反応にも触れ、日本経済団体連合会(経団連)から事前に資料の相談を受けたことも明かし、「(荷主側として)適正原価をむやみに低く設定したいという思いは感じられず、納得できるような設定を望んでいた。それ以上に、物流を止めてはいけない、国民生活、経済活動に迷惑をかけてはいけないということを一番に念頭に置かれて、(会議では)発言されていたと思う」との見方を示した。

 

 開催地ブロック協会を代表し、中国トラック協会の小丸成洋会長は、「中国ブロックが事業者大会を担当するのは、4回目となり、今回も多くの皆様をお迎えし、盛大に大会を開催できることを大変嬉しく、光栄に思う。さらに、当社福山通運の創業地である福山の地に全国のトラック運送業界を支えている皆様をお迎えし、業界の将来について考える機会を得たことは、私自身にとっても格別の思いだ」と述べた。

 

 また、「トラック運送事業は国民生活の経済活動を支える重要な社会的インフラでもある。全国各地のドライバー、それを支える事業者の皆様の努力によって、私たちの暮らしが成り立っている」と強調。事業許可更新制度の導入について「業界の健全な運営に向けた動きが加速している。事業者それぞれが経営基盤を強化するとともに、荷主や関係行政機関とも連携しながら、物流の持続可能性を高めていくことが重要だ」と語った。

中国トラック協会の小丸会長

適正原価制度、許可更新制度の検討を着実に

 

 続く講演会では、日本サイバー犯罪対策センター業務執行理事の櫻澤健一氏が、「サイバー空間の脅威情勢と対策について~官民連携の現場から~」をテーマに話した。櫻澤氏は「サイバー攻撃の規模は様々だが、事業の中枢となる情報を奪われ、国家テロリズムと変わらないインパクトがある」と指摘。万全な対策はなく、万が一被害に遭った場合はサイバー分野で優れた知見を持つ警察にまず相談するよう呼びかけた。

 

 記念講演会では、数量政策学者の高橋洋一氏が「日本経済の現状とこれから」と題して講演。高橋氏は為替介入による米国債売却による実現益、政府歳入の増加により、「消費減税だけでは使いきれず、税収も上振れると考えると、いろいろ要求できるチャンス」と持論を展開。米国産原油の精製設備への補助金や代替輸送ルート利用への補助金など政府の施策を念頭に、「長期的には原油(高騰)の問題はなくなる」との見方を示した。

 

 全体会を再開後、トラック輸送振興顕彰「鈴木賞」の贈呈式が行われ、石田運輸商会代表取締役の石田義光氏が表彰された。

 

 また、中国ブロック青年部協議会の柏原宏輝会長が大会決議を読み上げた。

 

 来賓の国土交通省の舟本浩物流・自動車局長は、「トラック業界を取り巻く環境は、人手不足への対応、各種コストの上昇など依然として厳しい状況が続いている。物流は国民生活の経済活動を支える必要可欠な社会のインフラ。その中核を担うトラック運送業の重要性はますます高まっている。物流の持続可能性を確保し、トラック運送業が将来にわたり、その重要な役割を果たしていくことができる環境を整備していくことが重要だ」と強調。

 

 トラック適正化二法における適正原価制度や許可更新制度について、「物流を支えるトラック事業者の皆様が適正な対価を得て、持続的に事業を営むことができる環境を整備するとともに、ドライバーの皆様の処遇改善につなげていくうえでも、極めて重要な取り組みだ。トラック事業の健全な発展と持続可能な物流の実現に資するものとなるよう検討を着実に進めていきたい」と表明した。

舟本物流・自動車局長

 続いて、横田美香広島県知事、東保幸広島県議会副議長も祝辞を述べた。最後に、山口県トラック協会の国広和之会長の先導のもと、参加者全員による恒例の「ガンバローコール」で大会を締めくくった。

全員で「ガンバローコール」を実施
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