カーゴニュース 2026年10月8日 第5473号
10月8日は「通関業の日」――。今年は通関業者にとって経営環境の改善を図る「元年」となりそうだ。1月以降、通関業務料金の改定の動きが加速。通関業者による関税・消費税の立替払いについても、見直す企業がみられるようになった。コスト上昇分の正当な転嫁を促す取適法(中小受託取引適正化法)の施行や、立替払いについて「独占禁止法上問題となるおそれのある行為」とする国の考え方が明示されたことが背景にある。ただ、実際の荷主との交渉では理解を得られていないケースが多く、これから正念場を迎えそうだ。
料金改定相次ぐも、顧客からの理解は道半ばか
通関業務料金の見直しの背景にあるのが、深刻な人手不足と人件費の高騰。EPA(経済連携協定)の拡大に伴う輸出入手続きの複雑化・高度化、AEO(認定事業者)制度に基づくセキュリティ管理やシステムに要するコストも軒並み上昇している。一方、通関業務料金は2017年の通関業法改正によって自由化されたものの、1995年に設定された上限料金のまま据え置かれているケースが多かった。
価格改定に口火を切ったのが最大手の日本通運。昨年12月、2026年1月から通関業務料金を平均25%引き上げると発表。その後、通関業務料金の見直しを打ち出す物流会社が相次ぎ、値上げの幅は20~25%程度が多くみられる。日本通関業連合会が8月に行ったアンケートでは、44%が通関業務料金の見直しを実施。しかし、顧客から理解を得たという回答は数パーセントにとどまり、料金改定即、収受料金アップとはなっていないようだ。
立替払い、荷主との契約解除恐れ廃止に躊躇も
長年、業界の悪しき商慣習とされた関税・消費税の立替払いに関しても見直す動きが出てきた。これも日通が先行し、9月末までに全国のすべての拠点で立替払いを順次終了し、顧客自身による直接納税方式へ完全に移行すると発表。ただ、9割近くの通関業者が依然として立替払いを行っており、10月時点で見直しの方針を社外に公表している企業は日通のほか、リンコーコーポレーション、ナカムラロジスティクスなどまだ少数だ。
アンケートによると、立替払いについて、8割が荷主から要請があったとしていた。また、8割超が「負担」を感じ「やめたい」としているものの、荷主からの契約解除の恐れや他社との競争の兼ね合いで、廃止を躊躇するケースも多い。注意すべきなのが、昨今の金利の上昇基調だ。通関業者が立替払いのために借入を行っていることもあり、金利負担が重くなる可能性がある。
国も後押し、悪しき商慣習に終止符打つ転機
通関業者の経営環境改善を国も後押ししている。ひとつは「総合物流施策大綱(26~30年度)」における通関業の重要性への言及だ。「労務費等のコストを通関業務料金へ適切に転嫁していくことの必要性を広く周知していく」ことが盛り込まれた。また、公正取引委員会が立替払いについて、独占禁止法上問題となるおそれのある行為であり、取適法に抵触するおそれがあるとの見解を示したことも、長年の悪しき商慣習に終止符を打つ転機となる。
財務省関税局は6月の関税・外国為替等審議会関税分科会で、通関業者に立替払いを強要したり、コスト上昇分の価格転嫁の交渉に応じないなど荷主と通関業者の不公正な取引に関する情報を得た場合、公取委との連携を図ることを報告。また、通関連はホームページに「目安箱」を開設し、荷主に関税・消費税の立替払いを要求されたり、通関業務料金の価格交渉を拒否されたといった情報を収集し、関税局、公取委と共有する仕組みを整備した。
関税・消費税の納税に関しては、リアルタイム口座振替(ダイレクト納付)、マルチペイメントネットワーク(電子納付)、納期限延長制度といった、輸入者自身が直接納税できる仕組みがある。輸入者にとっては、納税状況や税額を即時に把握でき、資金計画の精度向上や支払い管理事務の効率化、内部統制の強化といったメリットがある。通関業者からは直接納税方式の“義務化”を望む意見も根強い。
なお、アンケートでは、関税等の立替払い解消に関し、荷主側の7割は変化がなかったことも報告され、国が後押しする通関業者と荷主の適正取引の必要性が十分周知されていない可能性もある。「アンケートの結果、立替払いについて会員店社の8割が負担を感じていたことが明らかになった。業界団体主導で関税局に対する具体的な要望活動につなげてほしい」といった、さらに踏み込んだ施策を期待する声もある。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。