国土交通省はこのほど、法令遵守の意識が低く、悪質な法令違反が常態化していると認められるトラック運送事業者に対する行政処分基準を強化することを決めた。飲酒運転に係る新たな処分を設けたほか、乗務時間など告示違反や点呼未実施の際の処分量定を引き上げる。８月中に改正通達を発出し、来年１月中に施行する。

　酒酔い・酒気帯び運行に関しては、飲酒に係る指導を行っていなかった、また、点呼を実施していなかった場合、新たに処分を設ける。いずれも初違反は１００日車、再違反は２００日車とする。処分を強化することで、飲酒運転ゼロを目指す。

　乗務時間など告示の遵守違反があった場合についても処分量定を厳しくする。未遵守５件以下は現行と同じく初違反は警告、再違反は10日車とするが、未遵守６件以上は処分量定を引き上げ、初違反は未遵守１件当たり２日車、再違反は未遵守１件当たり４日車とする。仮に未遵守６件の事業者の場合、現行は初違反10日車、再違反20日車だが、改正後は初違反12日車、再違反24日車となり、処分量定は２割増しとなる。また、未遵守16件の事業者の場合、現行は初違反20日車、再違反40日車だが、改正後は初違反32車、再違反64車となり、処分量定は６割増となる。

　点呼未実施の処分量定は、未実施19件以下は現行のままで初違反は警告、再違反は10日車とするが、未実施20件以上の場合はより厳しい処分とし、初違反は未実施１件当たり１日車、再違反は未実施１件当たり２日車とする。仮に未実施20件の事業者の場合、現行は初違反10日車、再違反20日車だが、改正後は初違反20日車、再違反40日車とし、処分量定を２倍とする。未実施50件の事業者の場合、現行は初違反20日車、再違反40日車だが、改正後は初違反50日車、再違反１００日車とし、処分量定を２・５倍に厳格化する。