カーゴニュース 2026年2月12日 第5410号
東日本旅客鉄道(JR東日本、本社・東京都渋谷区、喜㔟陽一社長)は6日、列車荷物輸送サービス「はこビュン」の新たな取り組みとなる日本初の「荷物専用新幹線」を3月下旬の運行開始に先駆けて、盛岡新幹線車両センター(岩手県盛岡市)で車両やオペレーションをメディアに公開した。地方から首都圏へ一度に大量の荷物輸送を実現することで、地方創生や物流課題の解決を図るほか、災害時の緊急支援輸送にもつなげる。
「荷物専用新幹線」はE3系新幹線1編成の全号車を荷物専用車両として改造。運行時はE5系「やまびこ」と連結した状態で走行し、1~10号車を旅客専用に、11~17号車を荷物専用として利用する。輸送区間は盛岡新幹線車両センター~東京新幹線車両センター間となり、平日のほぼ毎日を定期運行。正午前に盛岡を発車し、16時頃に東京へ到着するスケジュールとなっている。積載量は最大17・4t(1000箱程度)となる。
車両センターで荷物を積載することで、乗客との接触を避けて安全を確保するとともに、カゴ台車のまま一度に大量の荷物を輸送することが可能となる。また、車両への荷物の積載にはAGV(無人搬送車)を導入。作業効率化を実現し、働き方改革に対応する。また、車内電源を活用した業務用クーラーボックスなどの冷温管理機能で冷蔵品の輸送にも対応する。
当日は雪の降る中、ホームから「やまびこ」と連結した荷物専用新幹線が発車し、折り返して別のホームに入線する場面を公開したほか、AGVが荷物を載せたカゴ台車をけん引しながらホーム上を自動で走行し、荷物を積む車両の前で停止する場面も披露した。
ホーム上にはAGVが走行できるよう床に誘導テープを張りめぐらされている。車両の前で止まったAGVからスタッフがカゴ台車を切り離し、車両の中に積載する。荷物専用車両は座席を全て外して床面をフラット化し、鉄板を敷くとともに滑り止め加工を施してカゴ台車の積載に対応。輸送時の荷崩れ防止用に固縛用のベルトも整備した。
地方創生や物流課題解決に寄与、災害時の物資輸送も
報道陣からの囲み取材に応じたマーケティング本部まちづくり部門開発戦略ユニットの堤口貴子マネージャーは荷物専用新幹線を通じて期待できる効果として「地域の名産品を首都圏に運ぶことでマーケットを拡大し地方創生につなげるとともに、物流における『2024年問題』への対応やCO2排出量の削減など、社会課題解決に貢献していく。お客様のニーズを拾い上げて改善を続け、事業をさらに拡大していきたい」と語った。荷物専用新幹線は現在、盛岡~東京間での運行を予定しているが、今後は新潟や仙台にも輸送エリアを拡大していく方針。
さらに、災害時における支援物資などの緊急輸送での利用も視野に入れており、堤口氏は「緊急輸送ニーズにおいて新幹線輸送は非常に適している。現在の『はこビュン』でも血液製剤などを輸送しており、災害発生時には新幹線をいち早く復旧させることで、支援物資や食料などを迅速に輸送できる」と述べ、過去に能登地震の際には新幹線で水を輸送した実績もあると説明した。
新幹線統括本部新幹線運輸車両部車両ユニットの藤田貴代副長は、車両の改造にあたり苦労した点について「荷物専用新幹線は当社初の試みとなり、ゼロからのスタートだった。荷物の固定方法や安全確保など、現在の車両性能を最大限に活かしてできることを考えた」と説明。運用面の苦労については「より多くのお客様に乗っていただきながらも、その隙間を縫いながら荷物専用新幹線を走らせる必要があるため、緻密な時間調整が必要だった」と語った。また、堤口氏は「許認可の関係上、荷物専用新幹線を単独で走らせることが現状は不可能なため、工夫した結果『やまびこ』と連結して走らせることになった」と述べた。盛岡新車両センターの伊藤温輝氏は「このセンターにはこれまでE3系新幹線が入線したことがなかったため、荷物専用新幹線に対応するため設備の改修を行った」と明かした。
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