カーゴニュース 2024年4月18日 第5235号
1割の再配達はドライバー6万人の労働力に相当
近年のネット通販の伸びに比例し22年度の宅配取り扱いは約50億個にまで伸長。一方で、国土交通省の23年10月調査では、宅配便の個数のうち約11・1%が再配達となっている。約1割の再配達は年間約6万人のドライバーの労働力に相当し、再配達のトラックから排出されるCO2の量は年間でおよそ25・4万tと推計されている。
昨年10月に政府が策定した「物流革新緊急パッケージ」では、「荷主・消費者の行動変容」を施策の柱のひとつとし、宅配の再配達率を半減する緊急的な取り組みとして、ポイント還元を通じ、コンビニ受取等柔軟な受取方法やゆとりを持った配送日時の指定等を促す仕組みの社会実装に向けた実証事業を実施することが打ち出された。
日時指定、まとめ注文で配送負荷軽減
通販各社も対策を本格化させている。Amazonは配達日時を指定できる「お届け日指定便」を提供し、個別の注文を可能な限りひとつにまとめて配送。自宅外で受け取れるAmazonロッカーとカウンター、オートロックマンションでの受け取りを便利にするAmazonKeyの提供、梱包の簡素化による配送効率の改善にも取り組んでいる。
LINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」では、ユーザーが急がない荷物は余裕のある配達日を指定すると、指定日によって「PayPayポイント」がもらえる「おトク指定便」を全ストアを対象に提供。ユーザーはニーズに応じてお得な配送方法を選択でき、ストアや配送業者はセール期間などの出荷・配送作業負荷の分散・軽減を図れる。
ZOZOが運営するファッションEC「ZOZOTOWN」は、通常配送よりも余裕のある配達時期を選択した場合に、同サイトでの買い物にポイントを受け取れる「ゆっくり配送」を2日から試験導入。「注文のおまとめ」促進による配送件数の削減や、繁閑に応じた発送作業の分散による配送の効率化など、さらなる効果を見込んでいる。
ジャパネットホールディングスで配送を担当するジャパネットロジスティクスサービスでは、商品購入時にほぼすべての商品の配送日時指定を可能にし、商品発送時の「お知らせメール」を実
施。また、事前に電話連絡し在宅かどうかを確認することによって、23年の再配達率を7・8%まで低減している。
ファンケルは1月下旬から2月末までの期間限定で、通信販売の注文時に不在・在宅にかかわらず指定場所に届けるサービス(=置き配)を選択したユーザーに、ファンケルでの買い物時に活用できるポイントを付与する施策を実施した。24年度には38%の受注率を目指す。複数回の注文をまとめて配送する「おまとめ配送」も推奨する。
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