カーゴニュース 2025年1月21日 第5309号
パナソニックホールディングス傘下でサプライチェーンソフトウェア開発などを展開するパナソニックコネクト(本社・東京都中央区、樋口泰行代表取締役)は15日、100%子会社で、物流ソリューションの開発などを手がけるベルギーのZetes社(ゼテス)が提供する2件のソリューションの国内提供を2月から開始すると発表した。具体的には、すでに国外でリリースされている倉庫実行管理システム(WES)「ZetesMedea(ゼテスメディア)」の国内提供と、新サービスであるデータコラボレーションプラットフォーム「ZetesZeus(ゼテスゼウス)」の提供を開始する。
15日に行われたメディア向け発表会では、新たに提供するソリューションの概要説明とデモンストレーションが行われた。国内提供を開始する「ゼテスメディア」は、物流倉庫で紙や目視の検品などでアナログ的に管理していた業務をデジタル化するSaaS型のWES。管理者画面から、倉庫作業のプロセスごとの作業指示や進捗管理が可能で、入荷検品やピッキング、積込検品など、広範囲の倉庫業務に対応している。
倉庫現場のデジタル化は、導入済みの既存システムの老朽化などが発生しても、新システム導入には大規模な改修が必要となり、コストがかかったり、改修中は業務が停止するなどの課題がある。「ゼテスメディア」は経営管理システム(ERP)や倉庫管理システム(WMS)などの基幹システムを維持したまま、最小限のインターフェースで連携が可能。また、SaaS型のサービスであることから、入出荷やピッキングなど、特定の作業ごとにシステムを導入できるなど、現場環境に応じた柔軟性の高い導入を可能とする。将来的には、カメラによる検品作業の省人化や自律走行搬送ロボット(AMR)、ロボットアーム、自動倉庫との連携にも対応を予定する。
「ゼテスゼウス」は、2018年から提供している配送進捗管理システム「ZetesChronos(ゼテスクロノス)」の配送実績データを活用して、荷待ちや荷役などのドライバーの負荷を軽減につなげるプラットフォーム。「ゼテスクロノス」はドライバーの位置情報や配送状況をリアルタイムで管理できるサービスだが、「ゼテスゼウス」は「ゼテスクロノス」の配送実績データを集約し、ドライバー別や拠点別、荷物別など様々な角度から分析した結果をダッシュボードに表示。荷待ち時間や契約外の付帯作業時間を可視化するほか、配送先や委託業者、荷物単位でのトラブルやインシデントの集計が可能となり、ドライバーの作業実態の把握につなげることで、配送ルートの最適化やドライバーの作業環境の改善をサポートする。将来的には「ゼテスメディア」やその他のサービスとの連携も予定している。
説明会に出席したパナソニックコネクト現場ソリューションカンパニー現場サプライチェーン本部SCM事業センターダイレクターの小笠原隆志氏は、「『ゼテスメディア』は海外のDC(在庫型物流センター)で導入された際の実績として、ピッキングの精度が高まったことにより、生産性が25%向上したほか、コストを10%削減している」としたうえで、今後の販売戦略について「販売と物流、双方の領域を見据え、小売や卸、3PL事業者などを主なターゲットとして展開していく」と語った。
国内SCM(サプライチェーンマネジメント)事業における今後の方向性については、提供ソリューションの拡充を目指す。具体的には「物流現場のカメラを利用した一括検品のシステムや、シフト計画の最適化、倉庫内の状況を可視化して分析を支援するツールの25年の提供開始を予定する」(小笠原氏)とした。また、子会社である米国のサプライチェーンソフトウェア大手のBlue Yonder社との連携を強化していく方針であるとした。
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