カーゴニュース 2025年2月27日 第5319号
横浜冷凍(ヨコレイ、本社・横浜市西区、古瀬健児社長)は国内外で冷蔵倉庫拠点を拡充する。国内では24年の恵庭(北海道)、夢洲(大阪)、箱崎(福岡)に続き、25年に十勝(北海道)、岡山で竣工し、26年以降には長岡(新潟)、大井川(静岡)でも計画している。海外では3月にベトナム、27年春にタイでも新たな拠点が誕生。「ヨコレイ事業ビジョン2030年」では、30年までに「多機能&オートメーション化低温物流センター」として10センターの新設を掲げており、19日に開催された24年9月期決算説明会で古瀬社長は、現行の計画の着実な推進に意欲を示した。
同社は環境に配慮し、省力化・省人化技術を取り入れた冷蔵倉庫の新増設を進めている。国内では24年2月に「恵庭スマート物流センター」と「夢洲第二物流センター」、4月に「箱崎FACILITY物流センター」が竣工。25年は4月に同社国内初の完全自動倉庫を導入した「十勝第4物流センター(仮称)」、中国・四国地方の要衝として「岡山物流センター(仮称)」の竣工が続く。さらに、26年にはヨコレイにとって日本海側初となる「長岡物流センター(仮称)」、静岡県焼津地区でマイナス45℃対応の全自動ラック倉庫「大井川第二物流センター(仮称)」を新設する。
ASEANグローバル展開では、3月にベトナムで同社初めてとなる完全自動倉庫を取り入れた「ベンルック物流センター(仮称)」が竣工。また、タイでは既存の3拠点・7棟に加え、「スワンナプーム物流センター(仮称)」が27年春に竣工を予定している。
冷蔵倉庫の建設を巡っては建設費が高騰しているが、古瀬社長は、「中期経営計画に従って計画を進めており、設備投資計画に変更はない」とし、昨今、開発が進んでいる賃貸用冷蔵倉庫の動向について、「私どもも無視できるものではなく、それに対応するシミュレーション、調査も行っている。ただ、賃貸用冷蔵倉庫は料率が非常に高い。冷蔵倉庫業界もそれに引っ張られる形で保管料などが上がっていってほしいと個人的には思っている。今のところは(営業用冷蔵倉庫と賃貸用冷蔵倉庫の)すみ分けができているのではないか」との見方を示した。
また、同社では「2024年問題」の長距離輸送便不足対策として、協力会社と連携し、中継拠点冷蔵倉庫の活用を提案していく方針にある。今後の冷蔵倉庫の拡充に関し、ベトナム、十勝で採用した自動倉庫について「海外では言葉の壁があり、(人材教育の面で)全自動倉庫化の必要性があるのではないかという考えがあった。国内でも人手不足の問題がある」と背景を説明。一方で、同社は社員によるオペレーションを基本としており、今後の人材確保について「当社の冷蔵倉庫の建設スピードに採用が追い付いていなかった。現在、採用に力を入れるともに、離職率の削減に取り組んでいる」と述べた。
ヨコレイの2024年9月期連結決算は売上高1222億8200万円(前期比2・6%減)、営業利益46億4700万円(29・5%増)、経常利益48億800万円(16・3%増)、純利益は39億3300万円(前期は107億3100万円の赤字)だった。冷蔵倉庫事業の売上高は351億2700万円(10・4%増)、セグメント利益は71億9800万円(7・6%増)の増収増益。前期からの高い在庫水準が続き、コスト上昇分の料金改定も進み増収。堅調な需要増による大幅増収が新設センターの減価償却費、立ち上がり経費増などを吸収した。
なお、ヨコレイでは南米ペルーでの取引に関し、過年度にさかのぼり収益認識に関する会計処理の訂正を行い、23年9月期決算で売掛債権や貸付金等に関する引当金を特別損失として計上。有価証券報告書(21年9月期~23年9月期)、四半期報告書(22年9月期第1四半期~24年9月期第2四半期)を訂正した。また、再発防止策として、社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置した。
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