カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号

FOCUS
特別インタビュー②
総合物流で
貨物鉄道への間口を広げていく
JR貨物 代表取締役社長
犬飼 新 氏

2025/03/26 17:00
FOCUS 貨物鉄道・通運 インタビュー

今期は何としても連結経常黒字の確保を

2025年3月期連結業績見通し(単位:億円)

 ――足元の輸送動向は増加基調が続いています。

 

 犬飼 今年度のコンテナ輸送実績は、2月までの累計実績で前年度比2・6%増となっています。この数字についての評価には色々な見方があると思いますが、着実に増えていることは間違いありません。さらに今年度の流れを見ていくと、上期については台風などによる輸送障害や輪軸不正による影響もあり、ほぼ前年並みでしたが、下期に入り前年を上回る水準まで持ち上がってきました。明確な分析はできていませんが、国内全体の荷動きがやや低調に推移する中で、鉄道コンテナ輸送量が増えているということは、「2024年問題」による影響、トラックドライバー不足や環境問題などの課題を受けて、お客様である荷主企業が自社の物流体制を見直し始めていることは確かだと受け止めています。

 

 今年度に鉄道利用を拡大されたお客様から、来年度以降もさらに増やしていきたいという意向を数多くいただいており、鉄道へのモーダルシフトの流れは着実に進んでいるという手応えを感じています。

 

 ――そうした中で、今年度の決算見通しはいかがでしょうか。第3四半期決算の段階では連結ベースで経常黒字を確保しました。

 

 犬飼 第3四半期決算を受けた1月改定計画で、通期の連結ベースで4億円の経常黒字を計画していましたが、2月に雪害による輸送障害が起きたことで、計画を若干下回る状況となっています。何とか3月で挽回したいと思っていますが、正直なところギリギリの状況が続いています。

 

 収入ベースでは昨年4月に実施した鉄道運賃の改定効果もあり、前期を確実に上回っているのですが、コストがそれを上回るペースで上昇しています。電力費をはじめとする変動費の上昇はいったん止まっているものの、機関車、貨車、コンテナなど輪転資材の調達価格が鋼材などの原材料費や人件費の高騰等によって上昇を続けており、修繕費用も同様の傾向です。

 

 さらに来年度以降も、輪転資材の調達価格上昇に加えて、老朽化した駅構内施設の建て替え費用などのコストアップ要因が山積しています。また、賃上げを含めた人件費の上昇も見込まれます。今後は人材確保の面からも社員の待遇改善に積極的に取り組んでいく必要がありますが、コスト面だけでみれば厳しい状況が続きます。

 

 輪軸不正という厳しい事案が起きた中にあって、社員は本当に頑張ってくれましたので、それに報いるという意味でも何とか連結経常黒字を確保したいと思っています。黒字を達成することができれば、来期以降への明るい兆しにもなります。

 

来年度は196億トンキロの達成がテーマ

 

 ――来年度の事業計画の方向性はどのようなものになるでしょうか。

 

 犬飼 25年度は今年度からスタートした中期経営計画の2年目となりますが、基本的には中期経営計画で打ち出した方向性に沿った形で事業を展開していきます。その中で、国土交通省の「今後の鉄道物流の在り方に関する検討会」を受けて設定したKGI/KPIが最終年度を迎えます。そこでは、鉄道コンテナ輸送量の目標数値として196億トンキロが示されていますので、その達成を目指していくことが最大のテーマになります。現状から比較すると相当高いハードルではありますが、輸送量をその水準まで増やすことができれば、それに連動して収入も大幅に増えますので、費用面の増嵩も吸収することができます。

 

 ――目標達成の可能性についてはいかがでしょうか。

 

 犬飼 今年度の輸送実績は160億トンキロ台半ばで着地する見通しであり、196億トンキロまでにはまだ相当な開きがあります。これをコンテナ列車への積載率に置き換えると、196億トンキロを達成するためには全日平均の積載率を76・5%まで高めなければなりません。現状では70%程度にとどまっており、実現するためには輸送量をかなり増やす必要があります。達成がそう簡単でないことは確かですが、少しでも目標に近付けるように努力していきます。今月15日に実施されたダイヤ改正でも、需要の高い区間や時間帯に輸送力を設定するなどの取り組みを行っています。

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