カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号
31ftコンテナの保有・運用を拡大していく
――鉄道モーダルシフトを拡大するため、国は31ftコンテナの導入補助に力を入れています。JR貨物もリース方式を活用して31ftコンテナを増やしていく方針です。
犬飼 31ftコンテナは10t車など大型トラックからそのままシフトできるという意味で、モーダルシフトの拡大に必要不可欠な装置です。これまでは、荷主企業や利用運送事業者が保有する私有コンテナが中心でしたが、当社としても数年前から保有を順次増やしてきた経緯があります。今回、リース方式によって新たに60個の導入を決めたことで、当社が運用する31ftコンテナは197個まで増えます。今後も運用効率を見据えつつ、保有を増やしていく方向で考えていきます。
ただ、私有コンテナも含めた31ftコンテナの運用が拡大していけば、貨物駅構内での置き場の確保などが課題になってきます。当社ではここ数年、発送に合わせてバランスをとってきましたが、一部の貨物駅では置き場の確保に困っている駅も出てきていますので、対応策を検討していきたいと思います。
――ドライバー不足が進む中で、利用運送事業者の一部では集配能力不足が顕在化しています。
犬飼 積替ステーションの設置など貨物駅の能力や使い勝手をさらに高めていくことで、鉄道コンテナ専用車両(緊締車)の集配能力の不足をカバーしていく取り組みを進めていきます。今後も人手不足がより深刻化していくことが予想されますので、利用運送事業者の皆さんと協力しながら鉄道輸送全体の効率性が高めていく施策が重要になると考えています。
貨物鉄道が必要な存在だと認められることが重要
――北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される「海線」の貨物線存続方策を検討する有識者検討会議が今月末にも中間報告を行う予定となっています。
犬飼 今月末を目途に予定されている中間報告に続き、1年後となる来年度末に維持方策についての最終報告が示される予定となっています。ただ、当初は30年度に予定されていた北海道新幹線の札幌延伸自体が38年度に延期される方向となっており、その間の取り扱いをどうしていくのかなど、現段階では不透明な部分が多いと思っています。
また、貨物ルートの維持については必要だとの認識は関係者で共有されているものの、具体的な維持方策がどのようなものになるのか――。当社とすれば、受益者負担と言われても困るというのが偽らざる本音です。「海線」の維持に係るコスト上昇が現実的な幅の中で収まるのであればまだしも、極端に上昇することになれば、その分を鉄道運賃に転嫁せざるを得ません。しかし、それではお客様の鉄道離れが進むことが避けられず、貨物線が廃止されてしまうこととほぼ同義になってしまいます。
こうした「海線」の話も含め、やはり、貨物調整金のような並行在来線の経営を維持していくスキームが必要です。しかし、貨物調整金制度自体が30年度末までに見直されることになっており、その先行きがどうなるかは現状では不透明です。さらに、アボイダブルコストルールに基づく線路使用料について定めたJR旅客会社との線路使用協定も27年3月末をもって改定時期を迎えます。国鉄改革から40年が経過する中で、一部には色々な意見が出ているとも聞きますが、アボイダブルコストルールは分割民営時に決められたスキームであり、貨物鉄道が生き残っていくための生命線です。将来にわたり、当社が事業を営む上での前提条件であることに何ら変わりはありません。
――まさに貨物鉄道の存立基盤となるものです。
犬飼 ただ、ひとつ大事なことは、貨物鉄道が日本の物流システムにおいて必要不可欠な存在だと認めてもらわなければならないということです。その大前提がなければ、当社が主張していることへの理解や賛同は得られないと、我々自身が肝に銘じなければなりません。そのためには、JR貨物が安全面を含めて、もっと信頼していただける輸送機関になっていくことが大事です。当社は「社会から必要とされる存在であり続ける」ことを理念とし、現中期経営計画でも「物流を通じて社会に、お客様に貢献し続ける企業グループ」をありたい姿として掲げました。その実現に向けて、グループ社員が一丸となって取り組んでいきます。
犬飼 新(いぬかい・しん)
1985年早大教卒、同年、間組(現・安藤ハザマ)入社。2003年JR貨物入社。北海道支社長などを経て、15年執行役員関東支社長、17年取締役兼執行役員鉄道ロジスティクス本部営業統括部長、18年6月取締役兼常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長、20年6月同経営統括本部長、22年6月現職。1959年生まれ、65歳
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