カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号
総合物流事業を一歩前に踏み出す
――さらなる増送に向けた新たな取り組みとしては、どのようなことが考えられるでしょうか。
犬飼 JR貨物グループとして総合物流事業への取り組みを強化していきます。4月1日付でグループ会社である日本運輸倉庫を「JR貨物ロジ・ソリューションズ」に社名変更し、総合物流事業の中核会社として位置づけます。同社の元請け機能を強化することで総合物流の仕事を幅広く受託できるようになれば、鉄道利用の間口が広がることにもつながります。来年度は、総合物流事業の強化による鉄道事業の拡大という相乗効果の実現に向け、一歩前に踏み出す年になります。
――従来はJR貨物本体の総合物流部が中心となって総合物流事業に取り組んできましたが、その機能の中心をグループ会社に移すことで、どのような違いや効果が期待できるでしょうか。
犬飼 これまでも、本体の総合物流部がグループ会社などと連携しながらお客様の物流をコーディネートしてきました。それはそれで機能してきた面はあるものの、当社に入る売上は鉄道運賃収入しかありませんでした。しかし今回のスキームでは、JR貨物ロジ・ソリューションズが元請けとなることで、鉄道運賃や倉庫保管・入出庫、トラック・内航海運の利用運送といった幅広い事業収入が売上としてひとつにまとまるという違いがあります。鉄道利用運送では、グループの日本フレートライナーや各利用運送事業者と連携することで、各社に新たな仕事をお願いすることができるようになります。
すでに本体の総合物流部から一部の社員がJR貨物ロジ・ソリューションズに出向いていますが、彼らからは「仕事の幅が広がって面白い」という声が聞かれます。というのも、JR貨物本体では、基本的に鉄道利用の提案になりますが、JR貨物ロジ・ソリューションズであれば、仮に鉄道輸送が成約しなくても、トラックや内航輸送など他の輸送モードの利用を提案することができるわけです。
今回の取り組みの狙いは、社名変更などを通じて総合物流という窓口を分かりやすく構えることで、お客様との接点を増やすと同時に、鉄道利用の間口も広げていくことです。利用運送事業者の既存の仕事を奪うということではなく、新たな案件を獲得していくことで利用運送事業者の皆様の仕事も増やすことができればと考えています。
回転型不動産事業で物流とのシナジー創出を
――新たな挑戦という意味では、回転型不動産ビジネスへの参入も発表しました。
犬飼 これも不動産事業としての取り組みではあるものの、中心には「物流」があります。自社で保有する不動産を私募ファンドに売却し、そこで得た資金を新たな物流施設や倉庫などに再投資していくことで、総合物流事業とのシナジーを生み出すとともに、新たに鉄道需要を喚起させる方向につなげていきたいと考えています。ファンドに売却する不動産と自社で保有し続ける不動産との見極めをしっかり行いつつ、24年度中に第1号となる私募ファンドを組成、25年度より本格的に新たな不動産への再投資を進めていきます。
――売却資金を活用して新たに取得していく物流施設は貨物駅近隣の「駅チカ倉庫」を想定しているのでしょうか。
犬飼 どこまでを「駅チカ倉庫」と定義するかは難しいですが、鉄道事業とのシナジーを生み出すためには、なるべく貨物駅の近隣に立地していることが望ましいと思います。また、純粋な投資という観点から見ても、貨物駅から離れた場所に立地する倉庫は、物流不動産としての魅力に乏しい傾向があり、例えば首都圏でいうと、国道16号や外環自動車道のエリア内にある物流施設でなければ利回りが期待しにくい面はあると思います。不動産取得については単独にはこだわらず、他の不動産デベロッパーなどとの連携も視野に入れていきます。
また、物流施設を中心に据えながらも、不動産のポートフォリオの幅を広げていくため、レジデンスやオフィスビルなどの取得も検討していきます。不動産市況の動きを見ながら、物流施設以外の不動産への投資も行うなど、安定的に不動産事業の収益を上げていくことも考えています。
さらに、不動産の利回りだけに頼るのではなく、プロパティマネジメントやビルディングマネジメント、さらにはアセットマネジメントもグループ内で行える体制を整え、売却物件の不動産管理業務に関わるフィービジネスでも収益を積み上げられるようにしていきます。そのために、現中期経営計画の残りの2年間で知見やノウハウを蓄積し、次期中期経営計画の段階でファンド規模を300億円程度、10年後に1000億円規模に成長させていきたいと考えています。
――様々な手法を駆使しながらも、最終的には鉄道事業を中核とした総合物流戦略に帰結させていくという考え方ですね。
犬飼 やはり、鉄道を基軸とした総合物流という基本線から大きく離れるべきではないと思います。そこに当社の存在意義があるわけで、最後には貨物鉄道輸送という当社しかできない唯一無二の事業を通じて社会に貢献していくというスタンスは堅持していきたいと考えています。従って、あくまで物流とのシナジー創出にこだわり、不動産投資による収益拡大だけを目的とするという考えは持っていません。
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