カーゴニュース 2025年4月24日 第5334号
IHI(本社・東京都江東区、井手博社長)と野村不動産(本社・東京都新宿区、松尾大作社長)は16日、共同開発した物流施設「Landport横浜杉田」(横浜市金沢区)を公開した。
「Landport横浜杉田」は3月末に竣工し、4月から満床稼働している。敷地面積は約7万1034・94㎡、延床面積は約16万3409・47㎡。柱RC梁S造・耐震・地上4階建ダブルランプ型構造で、1階は両面、2~4階は片面に接車バースを備える。屋上には太陽光パネルを設置し、使用電力の一部をグリーン電力とすることでZEB最高ランクを取得する予定だ。
立地は、首都高速湾岸線・杉田ICから約680mと至近で、横浜港へはおよそ16分と、輸出入貨物の取り扱いに適しているほか、神奈川県や都内への配送にも優位性を発揮する。通勤面でも、横浜シーサイドライン・南部市場駅から徒歩約4分など、3路線3駅が徒歩圏内にあり、雇用の確保にも適している。
立体自動倉庫を手軽に利用できる
「Landport横浜杉田」は、テナント企業同士や、施設と地域社会との共生、発展を目指す「オープン・シェア型物流施設」をコンセプトとしている。その具体的な取り組みのひとつが、「立体自動倉庫シェアリングサービス」だ。最大4020パレットの保管が可能な立体自動倉庫をテナント企業などが共同利用できるシェアサービスで、IHI物流産業システム(本社・東京都江東区、川田基浩社長)のパレット自動倉庫を3階から4階の吹き抜け部に設置した。縦1200×横1200×高さ1600㎜以内、1パレットあたり最大1000㎏までの荷物に対応し、入出庫合わせて1時間あたり180パレットの処理能力を有する。パレット単位の従量課金制で利用できるため、初期投資や固定費、設置スペースの確保などを気にすることなく、手軽に利用することが可能となる。季節波動が大きい荷物などはこのサービスを活用することで、倉庫面積の最適化、コスト削減も期待できる。
地域との連携を促進
さらにIHIと野村不動産は、地域社会との共生を図るため地元金沢区と防災協定を結び、「Landport横浜杉田」が津波避難施設に登録された。災害発生時には屋上の乗用車駐車場を開放し約1000人が避難できる態勢を整えるとともに、防災イベントを定期的に行う計画も立てる。また、屋上には地域住民を迎え入れる屋上菜園を運営するほか、東側に地域開放型の広場を設置し、同地に由来する「杉田梅」の成木・苗木の植栽スペースも設けるなど、地域連携を促進し、防災や環境保全、文化継承に寄与する。このように地域コミュニティを活用しながら労働力不足解消も目指す。
18日には地元関係者や地域住民を招き「オープニングイベント」を開催し、現在は希少となっている「杉田梅」の植樹式も行った。来賓として挨拶した金沢区の齋藤真美奈区長は「金沢区で働く方々の安全安心や地域の産業活性化に向け、地域に開かれた物流施設として、地域とともに発展していくことを望んでいる」と祝辞を述べた。また、IHIの二瓶清常務執行役員は「この場所は、昭和12年(1937年)より当社が関わってきた土地であり、長年の地域の方々へのご恩に報いるためにはどのようなことができるかと考え、この施設を津波からの避難施設にすることとした。本施設が災害時に機能するためには、防災機能を持った施設であると認知されることが大切。その意味で本日のイベントは皆様に本施設を知っていただく活動の第一歩となった」と挨拶。また、野村不動産の黒川洋取締役専務執行役員は「交流の機会を生み出す広場やコミュニティスペース、屋上菜園の設置など、新たな取り組みをたくさん取り込んだ、Landportシリーズを代表する物件となった。物流施設の運営を通じて地域の皆様がますます豊かになり、産業の発展、防災対策、環境保全につながることを祈っている」話した。
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