カーゴニュース 2025年6月10日 第5345号
自動運転技術による物流サービスを提供するT2(本社・東京都千代田区、森本成城社長)は、アサヒロジ(本社・東京都墨田区、児玉徹夫社長)、キリングループロジスティクス(本社・東京都中野区、小林信弥社長)、サッポログループ物流(本社・東京都渋谷区、服部祐樹社長)、サントリーロジスティクス(本社・大阪市北区、髙橋範州社長)の4社と連携し、自動運転トラックを利用し、関東~関西間で酒類・飲料の実証輸送を開始する。5社は5日に共同記者会見を開き、実証輸送の概要を説明した。
T2の森本社長は「トラックドライバー不足が深刻化し、2030年には輸送能力の34・1%が不足する可能性も指摘され、輸送力の確保は物流分野の喫緊の課題だ。こうした課題に対応し、27年から完全無人となるレベル4の自動運転トラックによる幹線輸送の開始を目指している」と意図を説明。そのうえで「労働時間規制により1日最大15時間と定められているドライバーの拘束時間を超えた運行が可能となる。ドライバー1人あたり1日1運行(片道)が現状の輸送力の限界だが、自動運転トラックを活用すれば、将来的には2運行(往復)まで高められる」と展望する。
サステナブルな物流のため自動運転を活用
これを受け、アサヒロジの児玉社長が「予想される輸送力不足に対し、様々な取り組みを展開しなければならない。そのひとつとして自動運転トラックは輸送力不足を補う重要な輸送モードとなる」と指摘し、キリングループロジスティクスの小林社長は「安定的かつ高品質な物流を実現するのが我々の使命だ。物流子会社4社の知見・ナレッジをひざ詰めで持ち寄り、実用化を図りたい」と意欲を語った。
サッポログループ物流の服部社長は「自動運転車両による幹線輸送は、安定的で安心な物流を維持するという社会課題の実現に貢献できる。本格的な運用に向けて4社で後押ししていく」と意気込みを示し、サントリーロジスティクスの髙橋社長は「自動運転トラックの社会実装はスピード感を持って進めることで経済効果も早期に見込まれる。実証輸送を通して得られるデータを本格運行につなげたい」と期待を寄せた。
実証輸送は有人によるレベル2で実施。今月から11月にかけて計16回(8往復)、4社の製品を容器や重量を変えて往復輸送する。T2は自動運転トラックを利用した酒類・飲料の幹線輸送に関する各種データを収集するとともに、課題や物流拠点でのオペレーションを検証する。実証場所は関東~関西間の高速道路上の一部区間の約500㎞を制限速度で走行する。走行時間は8~9時間となる予定。今月は9~10日と12~13日に実施し、アサヒスーパードライ、キリン一番搾り生ビール、サッポロ生ビール黒ラベル、サントリークラフトボスラテを輸送する。9日は往路としてキリンビール横浜工場からキリンビール神戸工場へ製品を輸送、翌日は復路としてアサヒビール吹田工場からアサヒビール茨城工場へ運ぶ。12日は往路としてサッポロビール千葉工場からサッポロビール大阪物流センター、復路としてサントリープロダクツ宇治川工場からサントリー海老名配送センターへそれぞれ輸送する。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。