カーゴニュース 2026年4月23日 第5430号
NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、堀切智社長)は17日、カナダに本社を置き、カナダ・北米・英国でコントラクトロジスティクス(CL)事業を展開するMetro Supply Chain Group(メトロ・サプライチェーン・グループ)の全株式を取得し連結子会社化すると発表した。取得価額は企業価値ベースで18億カナダドル(約2070億円)に達し、NXHDにとって過去最大の買収額になる。最大の物流市場である北米でのロジスティクス事業拡大につなげ、長期ビジョンに掲げるグローバル市場での成長を加速させる。
メトロ社は北米中心にCL事業を幅広く展開
17日に株主との間で株式譲渡契約を結んだ。カナダに設立した特別目的会社を通じ、今年7月から12月にかけて全株式を現金で取得する予定。買収後のメトロ社の業績が一定の財務指標を達成することを条件に、売り主に最大4億カナダドル(460億円)を現金で追加支払いするアーンアウト条項も結んでおり、これを含めた買収額は最大2530億円となる。
メトロ社は1974年の設立で、カナダ・モントリオールに本社を置く。北米を中心に小売、消費財、自動車、ヘルスケア、テクノロジー・サービス、公共セクターなど幅広い分野でコントラクトロジスティクス(3PL)事業を展開。2025年9月期の連結売上高は1583億7700万円、連結営業利益は64億9000万円、連結当期純利益は2億5300万円。
NXHDでは、グローバル物流市場で最大のマーケット規模を有し、今後も成長が見込まれる北米エリアでのプレゼンス向上や、販売物流領域への拡充など機能強化が見込めることから株式取得を決断した。メトロ社の顧客基盤が、日系企業を中心としたNXグループの顧客基盤との重複がないこともシナジーを生み出しやすいと判断した。
北米市場で非日系顧客基盤を獲得へ
NXグループでは、28年を最終年度とする5ヵ年の経営計画でグローバル市場での事業成長加速を最大テーマとして掲げており、そのための手法としてM&Aを積極化する方針を打ち出している。すでに経営計画の期間中にオーストリアのフォワーダー大手であるカーゴパートナー社と、ドイツのヘルスケア物流専業のシーモン・ヘーゲレ社をグループ化。ただ、直近の大型M&Aはいずれも欧州で実行されたものであり、北米市場の成長加速が課題となっていた。
NXHDのグローバル事業を統括する大辻智専務執行役員は、本紙のインタビュー(3月12日発行)で、北米事業について「NXグループが初めて米国に進出したのは1950年代であり、本来ならば米国が持つ経済規模からいっても米州が海外リージョンの長男坊であっておかしくありません。しかし、現状ではNXグループ内での比率も各リージョンのなかでもっとも小さく、端的に言ってここ数年は頭打ちの状態が続いています」と、北米市場についての課題に言及していた。
また、北米でのM&Aのターゲットはロジスティクス事業だと明言したうえで「さらなる成長を実現していくためには、非日系の顧客層を開拓していく必要があります。そのためにはロジスティクス機能の強化が欠かせず、我々にはない顧客層を持っている会社をグループ化していきたいと考えています」と述べていた。
M&A資金枠4500億円を使い切りへ
NXHDは現行の経営計画において総額4500億円のM&A資金枠を確保しており、このうち約2000億円をカーゴパートナー社とシーモン・ヘーゲレ社の買収に投下済み。今回のメトロ社の買収は、アーンアウトを含め最大2500億円超に達することから、当初計画したM&Aの資金枠を使い切ることになる。この点について、CFO(最高財務責任者)の大槻秀史専務執行役員は本紙インタビュー(3月5日発行)で、「国内で生み出したキャッシュを海外での成長投資に充てる」という方針を強調したうえで、「金額ありきで考えているわけではありません。有利子負債の調達余力はまだありますし、(国内の)低収益不動産の売却で生み出したキャッシュをさらに振り向ける計画もあるので、仮にその額を上回る規模のM&Aでも対応は十分に可能です」と語っていた。
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