カーゴニュース 2025年7月22日 第5357号

NX総研/貨物輸送の見通し
国内貨物は40億20万t、4年連続減少

7月以降の荷動き回復に期待感も

2025/07/18 16:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 物流データ・統計・調査

 NX総合研究所(本社・東京都千代田区、鈴木理仁社長)は14日、「2025年度の経済と貨物輸送の見通し」の改訂版を発表した。25年度(1~12月)の国内貨物輸送量は前年度比2・1%減の40億20万tとし、4年連続の減少を見込んだ。予測の前提として、25年の世界経済成長率は国際通貨基金(IMF)の予測に準拠して2・8%増としたほか、25年の日本経済の実質経済成長率は0・6%増と力強い回復は見込めないものと予想。現時点では、米トランプ政権の関税政策の帰着点は見えないものの、輸入価格の上昇を受けて米国内では物価上昇が生じ、それに伴い世界各国の消費・投資マインドが悪化するリスクにより「世界経済の景気後退局面入りの可能性も出てきた」と指摘する。

 

消費・生産・建設のいずれもマイナスに

 

 今後の国内貨物輸送量については楽観できない予測を提示した。24年度(1~12月)は前回発表時と同様、通期で40億8720万t(前年度比1・4%減)と予測し、25年度は40億20万t(2・1%減)と4年連続のマイナスを予想した。

 

 消費関連・生産関連・建設関連の3分野の貨物についてみると、消費関連は前年の4・5%増から1・3%減と3年ぶりのマイナスとなり、生産関連は前年の0・6%減から1・6%減と2年連続で減少すると予測。建設関連は前年度の5・0%減から3・0%減と低調で推移すると予想した。自家用トラックが輸送することの多い建設関連を除いた消費・生産関連の輸送量は23億2000万t(1・5%減)となり、24年度の23億5440万t(1・3%増)からマイナスに転じると予想。上期(1~6月)の0・1%減から下期(7~12月)は2・8%減と推移し、全体では荷動きに活況がみられない1年となりそうだ。

 

JRコンテナは好調、トラックは減少続く

 

 輸送モード別の貨物輸送量の見通しは〈下表〉の通り。JRコンテナは24年度が1・6%増、25年度が3・7%増と2年連続のプラス。リニア中央新幹線建設工事に伴う発生土などが輸送量の押し上げ要因となるほか、夏場の猛暑が予想されるなか飲料の堅調な荷動きを見込む。JR車扱は24年度の1・2%増から、鉱工業生産の低調を受けて石油輸送の悪化などが見込まれることから、25年度は3・0%減と4年ぶりの減少に転じると見立てた。

 

 営業用トラックは24年度の0・0%減から25年度は2・2%減と4年連続の減少を予想。25年度の荷動きは、消費関連は前年度の大幅増の反動で0%台半ばのマイナス、生産関連は機械機器、同部品、鉄鋼、化学工業品などを中心に低調に推移、建設関連が輸送量を下押しすることで4年連続の減少を見込んだ。自家用トラックも盛り上がりに欠け、24年度の4・2%減に続き、25年度は生産関連が微増となる一方、消費関連と建設関連が足を引っ張るかたちで2・1%減とマイナスを予想した。

 

 内航海運は24年度の1・9%減に続き25年度は2・0%減と見込んだ。生産関連は石油製品を中心に年間を通じて減少が続き、建設関連も減少基調から浮上できず4年連続で前年割れとなる見込み。

 

 他のモードと比べ、国内航空は活況を予想した。24年度にヤマトグループによる専用貨物機運航に伴う輸送量の押し上げ効果を受け下期は14・0%増となり、通期で8・0%増と大幅に増加した。25年度も押し上げ効果が継続し、上期は10・1%増と2ケタ増勢を維持し、下期はやや減速するも通期で6・3%増と増勢が続くとみる。

 

外貿コンテナは減少、国際航空は増勢を維持

 

 米国の関税政策や地政学的リスクを背景に、外貿コンテナ貨物の輸出は24年度が0・8%減、25年度は1・9%減と2年連続のマイナスを予想。一方、輸入についてみると、24年度は3・9%増と2年ぶりの増加、25年度は消費財・生産財とも増勢を維持し、4・8%増と2年連続のプラスを見込んだ。

 

 国際航空は輸出・輸入ともに増勢を維持する見込み。24年度の輸出では、全体の6割超を占めるアジア線で東南アジアや台湾向けが好調に推移し6・2%増と3年ぶりのプラスに転換。25年度はアジア線の増加と半導体関連の増勢が押し上げ要因となり2・7%増と2年連続で好調な推移を見込んだ。24年度の輸入は、5・0%増と3年ぶりに増加。25年度は消費財・生産財を中心に好調な推移が続き、8・2%増と2年連続で前年を上回ると予想した。

国内貨物輸送量の見通し

荷動きは「4~6月」の悪化から「7~9月」は回復?

 

 荷主企業の実感と予想を踏まえた国内向け出荷量「荷動き指数」(速報値)も併せて発表した〈グラフ〉。荷動き指数はメーカー・卸の主要2500事業所を対象に調査したもので、今回は647社から回答を得た。

 

 25年4~6月の実績は「マイナス15」となり、前期(1~3月)の「マイナス11」より4pt低下した。多くの荷主が4~6月の荷動きは悪化したと認識しているようだ。一方、7~9月見通しをみると前期(4~6月)、前々期(1~3月)と同じ「マイナス10」と予想。実績よりも見通しが5pt高いことから、多くの荷主が7月以降の荷動きは回復を期待していることがうかがえる。

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