標準的運賃のさらなる活用へ

カーゴニュース 2025年7月17日 第5356号

国交省/標準的運賃
事業者7割が標準的運賃で成果

24年度実態調査結果を公表

2025/07/16 16:00
全文公開記事 行政 運賃・コスト

 国土交通省は11日、2024年3月に告示したトラックの新たな「標準的運賃」の活用状況について調査結果を公表した。それによると標準的運賃を活用して荷主と運賃交渉を行ったトラック事業者は約74%だった。このうち、「希望額を収受できた」「一部収受できた」など荷主から一定の理解を得られた事業者は約75%となっており、全体からみると約55%と半数超の事業者が一定の理解を得られたこととなる。また、24年3月に告示した「標準的運賃」の水準に対し、8割以上収受できていた事業者は半数近くの約45%だった。

 

標準的運賃を提示するも1割強は成果なし

 

 調査は24年3月17~28日の間に実施し、全日本トラック協会の会員事業者約1100者と「ホワイト物流」推進運動に参画したことのある荷主約200社から回答を得た。運賃交渉の実施については、「標準的運賃を提示している」が41%、「標準的運賃などを考慮した自社運賃と提示している」が33%で合わせて74%が交渉を行っていた。26%の事業者が交渉をしていないが、その理由は複数回答で「契約打ち切りの恐れ」が87%、「荷主の経営状況を考慮」が85%と多かった。そのほか、32%が「交渉にあたる人材や時間的な制約」を理由にしていた。

 

 運賃交渉の結果をみると「希望額を収受できた」が35・6%、「一部収受できた」が38・5%となり、合わせて74・1%が荷主の理解を得て一定の成果があった。交渉の際に、標準的運賃を提示した事業者をみると、73・2%が「希望額を収受あるいは一部収受」を収受できていた。

 

 一方、運賃交渉を行った事業者のうち25・9%は「希望額を収受できなかった」と回答。標準的運賃を提示して交渉した事業者をみると「収受できなかった」(12・7%)、「交渉に応じてもらえなかった」(2・6%)を合わせ、成果が得られなかった事業者は15・3%だった。23年度調査では、約2割が成果を得られていなかったのと比べ、収受状況に一定の改善がみられた。国交省は一層の改善に向け、引き続き荷主の理解促進を図っていく考え。

 

運賃増をもとに6割がドライバーの賃金アップ

 

 運賃交渉の結果により、1運行当たりの収受額が23年度と24年度を比較してどのように変化したかをみると、全体の平均で2318円増加していた。内訳をみると、契約1093本中、「増減なし」が595本(54%)、「増加」が379本(35%)、「減少」が119本(11%)だった。実際に収受できた額が「増加」した契約をみると「1~2000円」の増加が最も多かった。

 

 また、運賃交渉により「運賃の値上げ分を一部でも原資としてドライバーの賃上げを実施した」企業は約60%だった。「運賃値上げはなかったが賃上げを実施した」は17%、「運賃値上げはあったものの賃上げは実施していない」は12%、「運賃値上げはなく、賃上げも実施していない」は11%だった。

 

 運賃の値上げ分を一部でも原資として賃上げを実施した企業の平均賃上げ率をみると「5%以下」が67%で最も多く、続いて「6~10%」が23%、「11~20%」が7%、「21%以上」が3%だった。

 

「適正収受への理解が進んでいる」国交省

 

 標準的運賃と実際に収受できた運賃との乖離率についても調査した。制度が創設され、20年4月に告示した最初の標準的運賃と比べると、22年度は「概ね収受できている」が46%、23年度は50%、24年度は53%と高まっていた。これについて国交省は「適正な運賃収受の理解が進んでいる」と評価している。なお、標準的運賃は24年3月に改正され、全体で約8%引き上げられたことから、24年度に実際に収受できた運賃と引き上げ後の標準的運賃を比べると、概ね収受できている割合は9pt低下の44%となった。

 

 標準的運賃に対する荷主約200社の認知状況では、「金額を知っている」「原価計算の方法を理解している」が67%で、「名称のみ知っている・聞いたことがある」が33%だった。23年度調査では「金額を知っている」「原価計算の方法を理解している」は80%だったのと比べ24年度は13‌pt低下した。そのうえで、トラック事業者から「新たな運賃を提示されたことがある」荷主は80%(23年度は64%)で、提示された「新たな運賃を受け入れた」荷主は89%(23年度は86%)だった。

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